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【特設】鋼構造物塗膜剥離・鉛関連
2017.09.20
鉛・PCB含有塗料の危険性と剥離剤の今
合わせて読みたい!
鉛やPCBは、その性能から、昔は多くの塗料にも混ぜられていました。
しかし、鉛やPCBは人体に悪影響を及ぼす可能性が見つかり、そのような塗料を販売することは、今では禁止されています。
ところが、禁止される前に建てられた鋼構造物などには、現在もまだその塗料が使われている可能性があるのです。
塗られているだけなら大きな害になりませんが、
塗装が施されている建物を解体したり、改修する際に作業者や周辺環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
知っておきたい! これまでの経緯
少し過去の記事と重複するところもあるかもしれませんが、それぞれの塗料の規制のポイントをまとめます。
鉛含有塗料
1989年
厚生労働省より「鉛中毒予防規則」が発せられ、鉛の含有量に関わらず適用され、作業環境の測定や、局所排気装置設置などが義務付けられました。
2014年 5月30日
厚生労働省から「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」の通達が出されます。
この通達では、「剥離作業は必ず湿潤化して(湿式工法で)行うこと」を求めています。
2017年 5月15日
参議院行政監視委員会の答弁にて、厚生労働省・国土交通省が共に「湿式工法」の周知、徹底を表明しました。
2017年 5月17日
国土交通省より、各地方整備局、各市町村へ、2014年に出された「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」の周知徹底通達が出されました。
PCB含有塗料
1968年
カネミ油症事件が発生し、有毒性が社会問題になりました。
1972年
通産省から行政指導が入り、製造が全面禁止になります。
その後約30年間、民間事業者によって処理施設が作られようとしていましたが、失敗し、39件全て断念する結果となりました。
2001年 6月22日
「PCB特別措置法」が制定されます。
PCB廃棄物を所有する事業者には、保管状況などを提出しなければならない他、期間内に適正に処分することが義務付けられました。
2012年 12月
PCB特別措置法が改定されます。
もともと処理期限は平成28年7月でしたが、平成39年3月まで延長されました。
2017年 5月15日
鉛と同様に、参議院行政監視委員会の答弁の場で、厚生労働省・国土交通省共に「湿式工法」の周知、徹底を表明しています。
上記からもわかる通り、ここ数年にかけて、有害物を含む塗料は必ず湿潤化して剥離作業を行うよう、行政機関が働きかけを行っています。
今後、塗料を湿潤化する工法が剥離作業の主要な手段の一つとなっていくのではないでしょうか。
湿式工法について
湿式工法にも2パターンの方法があります。
一つはウォーターブラスト工法で、これは水と研磨材とエアーを高圧で吹き付け、塗料を物理的に落としていく方法です。
二つ目は剥離剤を使った工法で化学的に落としていく方法です。
ここでは、剥離剤について掘り下げて書いていきます。
剥離剤のメリット
剥離剤を用いることで、塗膜を湿らせた状態で削り取ることができるため、細かな塗料が周囲に飛び散りづらいのが利点です。
また、剥離剤は刷毛やローラー、またはリシンガンで塗材面に塗布して、静置、スクレーパーで掻き上げるだけなので大掛かりな装置がいらず、設備費用や作業者の負担軽減が期待できます。
剥離剤の課題と今後の展望
いろいろなメリットが期待できる剥離剤ですが、塗料の成分や施行条件によっては相性が合わなかったりと、塗料や下地調整剤を剥離しきれないこともあります。
そういう場合は何度か剥離剤を塗り直したり、塗料に合わせて違う剥離剤を用いることもあります。
そのような手間を少しでもなくそうと、最近では、各企業及び行政機関が協力して、より良い剥離剤の開発や、剥離剤と他の工法を組み合わせる取り組みが進められています。
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