法規情報 REGULATION
VOC規制
VOC規制 <大気汚染防止法改正>
施行期日
平成18年4月1日(VOCの排出の規制等に関わる規定)
目的
浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントによる環境汚染の防止。
SPM及び光化学オキシダントの原因物質であるVOCの排出規制。
VOCの定義
大気中に排出または飛散したときに気体である有機化合物(但し、除外物質として政令で定められた物質を除く)
概要
1)規制対象施設と排出基準値
揮発性有機化合物排出施設 | 規模要件 | 排出基準 | |
工業製品の洗浄施設 (洗浄の用に供する乾燥施設を含む) |
洗浄剤が空気に接する面の 面積が5m²以上 |
400ppmC | |
揮発性有機化合物を溶剤として 使用する化学製品の製造の用に供する乾燥施設 |
送風機の送風能力が 3,000m³/時以上のもの |
600ppmC | |
塗装施設(吹付塗装に限る) | 排風機の廃風能力が100,000m³/時以上のもの | 自動車の製造の 用に供するもの |
既設 700ppmC 新設 400ppmC |
その他のもの | 700ppmC | ||
塗装の用に供する乾燥施設(吹付塗装及び電着塗装に係わるものを除く) | 送風機の送風能力が10,000m³/時以上のもの | 木材・木製品 (家具含む)の 製造の用に供するもの |
1000ppmC |
その他のもの | 600ppmC | ||
印刷回路用銅張積層板、 粘着テープ・粘着シート、 はく離紙又は包装材料 (合成樹脂を積層するものに限る) の製造に係る接着の用に供する乾燥施設 |
送風機の送風能力が 5,000m³/時以上のもの |
1400ppmC | |
接着の用に供する乾燥施設 (前項に揚げるもの及び 木材・木製品(家具を含む)の製造の 用に供するものを除く) |
送風機の送風能力が 15,000m³/時以上のもの |
1400ppmC | |
印刷の用に供する乾燥施設 (オフセット輪転印刷に係るものに限る) |
送風機の送風能力が 7,000m³/時以上のもの |
400ppmC | |
印刷の用に供する乾燥施設 (グラビア印刷に係るものに限る) |
送風機の送風能力が 27,000m³/時以上のもの |
700ppmC | |
ガソリン、原油、ナフサその他の温度 37.8度において 蒸気圧が20キロパスカルを超える 揮発性有機化合物の貯蔵タンク (密閉式及び浮屋根式 (内部浮屋根式を含む)のものを除く) |
1,000KL以上のもの (但し、既設の貯蔵タンクは、 容量が2,000KL以上のものについて 排出基準を適用する) |
60000ppmC |
※「送風機の送風能力」が規模の指標となっている施設で、送風機が無い場合は排風機の排風能力を規模の指標とします。
※「乾燥施設」はVOCを蒸発させるためのもの、「洗浄施設」はVOCを洗浄剤として用いるものに限ります。
※「ppmC」とは、排出濃度を示す単位で、炭素換算の容量比百万分率です。
IPAの洗浄施設の排出基準を例にとると、イソプロピルアルコールは炭素数が3つな為、400/3=133ppmとなります。
≪排出基準の適用の猶予≫
規制施工日(平成18年4月1日)において設置されている(設置の工事が着手されているものも含む)VOC排出規制については、平成22年3月31日まで排出基準の適用が免除される。 但し、届出の義務及びVOC濃度測定の義務は猶予されません。
2)届出及び義務
①施設の設置届け(都道府県知事)
イ)既設:施工日(平成18年4月1日)から30日以内に届け出る。
但し、その使用を廃止している場合は届け出不要。休止している場合は届出が必要。
ロ)新設又は変更:届出必須 ※実施の制限
届出が受理された日から60日経過しないと施設の設置工事等が出来ない(但し、知事の許可があれば可)。
②VOC排出基準の遵守義務
イ)拒否の判断:測定されたVOC濃度
ロ)改善命令
・排出施設の構造又は使用方法の改善
・処理方法の改善
・排出施設の使用の一時停止
ハ)罰則:直罰規定はなし
③VOC濃度の測定
イ)測定法:NDIR(触媒酸化-非分散形赤外線分析計)又はFID(水素炎イオン化形分析計)
ロ)測定回数:2回/年以上(但し、継続休止期間が6ヶ月以上の施設は、1回/年以上)
ハ)記録:3年間保存(測定結果の報告義務はないが、知事は報告を求める事が出来る。)
ニ)測定時間及び時期
・捕集バッグにより、20分間試料採取。
・一工程でVOCの排出が安定した時期(排出濃度が最も高くなると考えられる工程を選定する)
・但し、排出ガス処理装置の運転開始時又は切替時等における、
ごく短時間に限り特異的に高濃度の排出が生じる場合のVOC濃度にについては、測定値から除外。
ホ)一施設で複数排出出口を有する場合の測定
以下の何れかの測定方法を選択する。
・全ての排出口を測定し、排出ガス量で加重平均する。
・施設の構造等から最高濃度のVOCを排出している排出口を特定できる場合は、当該排出口において測定する。
ヘ)フレアスタック処理に係る特定
・フレアスタックにより排出ガスを燃焼処理している場合には、測定不可能なため、
排出基準に適合しているものと見なす。
・排出ガスをボイラー等で燃焼処理している為、測定が可能なものについては、測定が必要。
3)自主的取組について
VOCの排出抑制を行うに当たり、上記法規制と自主的取組を組み合わせて行う事が適当とされ、その進め方についての指針が経済産業省より出されています。