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有機溶剤

2024.11.20

キシレンについて

キシレンについて

 

キシレンとは

キシレンとは、別名「キシロール」とも呼ばれる、芳香族炭化水素に分類される有機物です。
特有のにおいを放つ、常温で無色透明の液体です。
ベンゼンについている水素のうち2つがメチル基になったものです。

ベンゼン、トルエン、キシレン

図のように構造式を並べると、違いも含めて分かりやすいですが、キシレンの場合、下の図のようにCH3の位置によって3種類の異性体を持ちます。

キシレン

それぞれ左から、

  • o-キシレン(オルトキシレン)
  • m-キシレン(メタキシレン)
  • p-キシレン(パラキシレン)

と呼び、それぞれ主に塗料や接着剤、可塑剤などの原料として利用されています。

キシレンは下記法規に該当しますのでこちらも気をつけなくてはいけません。

  • 有機溶剤中毒予防規則
  • PRTR法
  • 毒物及び劇物取締法(医薬用外劇物)

合わせて読みたい!

有機溶剤中毒予防規則について

PRTR制度について

毒物及び劇物取締法について①

毒物及び劇物取締法について②

 

キシレンの用途

キシレンの混合物は、塗料、接着剤、印刷用のインク、農薬などの原料として使われています。
また、灯油にもキシレンはわずかながらに含まれています。
化学原料として使用するためには異性体ごとに綺麗に分けてから使います。

o-キシレン

プラスチックの可塑剤や顔料、酸化させ、「無水フタル酸」という物質に変化させて塗料に使用するのが一般的です。

m-キシレン

m-キシレンは他のo-キシレンやp-キシレンに変化させて利用するケースが多いでしょう。
また、一部では可塑剤やポリエステル樹脂の原料であるイソフタル酸の原料としても使われます。

p-キシレン

こちらは「テレフタル酸」「テレフタル酸ジメチル」というプラスチックや衣服の繊維に利用される物質の原料の素になります。

また、塗料やシンナー用途でのキシレンは一般的に「混合キシレン」と呼ばれるものが多く、一般的な混合キシレンは3種のキシレンとエチルベンゼンを含んでいます。
エチルベンゼンは特定化学物質障害予防規則、女性労働規則にも該当するので注意が必要です。

合わせて読みたい!

特定化学物質障害予防規則について①

特定化学物質障害予防規則について②

女性労働基準規則について

 

キシレンの毒性

キシレンは毒物及び劇物取締法にて、医薬用外劇物に指定される物質で、毒性を持つので扱う際には注意が必要です。
大量にキシレンの気体を吸い込むと、頭痛や倦怠感、吐き気、食欲不振などの症状が出ますが、重症の場合は意識を失う場合もあります。

また、気体の場合だけでなく液体も、皮膚や目、喉、鼻などの粘膜を刺激します。
さらには、液体が手に付いた場合、キシレンの脂肪を溶かす性質によって皮膚から体内に吸収されてしまいます。

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キシレンに関する質問

※2024年11月20日更新

以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)

質問No.01~10

※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
記事中の「塗料やシンナー用途でのキシレンは一般的に「混合キシレン」と呼ばれるものが多く、一般的な混合キシレンは3種のキシレンとエチルベンゼンを含んでいます。」について、質問です。

なぜ、キシレンにはエチルベンゼンという違う物質が入っているのですか?意図的に混入しているのですか?
キシレン100%のものが欲しい場合、どのように入手したらよいですか?

原油を蒸留精製する時、炭素が8個の芳香族(キシレンやエチルベンゼン)は近い温度帯で蒸留されます。シンナー等に使用する混合キシレンは、溶解力とトルエンよりも少し遅い乾燥性を目的に使用されるので構造式については意識されません。
もし単体のキシレンが必要な場合は、混合キシレンを更に蒸留精製したオルソキシレンとメタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼンがありますので目的に沿ったキシレンをご購入ください。

喘息の持病があるのですが、業務でキシレンやシクロヘキサノンなどを扱っています。
特殊健康診断では異常なしですが、今で3年になり、喘息が悪化して、最近も息苦しくなり、入院しました。キシレンなどの化学薬品の影響はありますか?

化学物質が人体へ与える影響に関してはどうしても個人差がありますので、お体をしっかり内側から診てくださっているお医者様の方が正確なご判断ができるかと思います。

キシレンで洗っていて下半身にかかってしまい痛くてすぐお湯で洗ったのですが、子どもが出来なくなると聞きましたホントですか?

すぐお洗いになったのであれば、問題ありません。ご安心ください。

キシレンについてお伺いしたいのですが、揮発後、また物に付着するのでしょうか?
何時間程度換気をすればほぼ無くなると思って良いでしょうか?
また、布などに付着した場合、洗濯しなくても換気を続ければまた揮発するものでしょうか?

揮発してしまえば、そこにキシレンは残りません。揮発後物に付着する可能性ですが、布などには付着するおそれがありますので、しっかり換気を行い作業をなさってください。
何時間程度換気をするかということに関しては、気温湿度空間の広さ、換気装置の性能にもよりますので明言は出来かねます。申し訳ありません。

また仰る通り、布などに付着した場合、換気をして揮発すれば残渣してキシレンの成分が残り続けることはありません。

現在妊婦なのでキシレンが入ったシール剥がしを換気扇をつけずキッチンで使用してしまったのですが、食材や食器についてしまったなのではないかと不安です。その後現在換気は8時間は行いました。
ついている場合、どのような対処を行えばよいでしょうか?

食器や調理器具は食器棚の中もすべて食器用中性洗剤で洗う。また、食材も開封済みのものは捨てるなどで大丈夫でしょうか?
どのような対処をすれば1日、経口で1,030 mg/kg、吸引で150 mg/m3 (34 ppm)を越えないのか分からず教えていただけたら大変助かります…
またいつもアルコール消毒剤などでキッチンを消毒するのですが、キシレンと反応し、よくないものになりますでしょうか?
基本的に掃除で使う薬剤と反応する危険物などありますでしょうか?

キシレンの場合、空気よりも重いため、キッチンなどの換気扇で上から吸い上げるよりも、ドアを開放するなどし換気する方が下から換気ができるためおすすめです。
日常生活において部屋の出入りなどもされますから、今もなお食器に付着しているという可能性はほぼないかと思いますが、ご心配であれば洗剤で洗ってください。
化学反応などの恐れはございませんので、ご安心ください。

キシレンについて換気があまり良くない環境の場合、身体的なリスクはありますでしょうか?

焼き物業界で働いているものなのですが、焼き物に使う撥水剤、cp-e2キシレンはいをたまにつかうのですが、換気があまり良くないとこで使用を何回もしました。外には通じてないドアをあけたり、扇風機で、臭いを飛ばしたり最近はしてます。
今は身体に害ときいて、外に通じる窓をあけてます。部屋の中でしているような感じですこし、臭いがあります。
将来的に子どもがほしいので、障害がある子どもが産まれやすいとか、リスクは高まりますか?

溶剤の耐性には個人差がありますので、一概にリスクが高まる高まらないと申し上げることはできませんが、キシレンの気体は空気よりも重たく、下の方にたまる傾向にありますので、足元からしっかり換気をなさって、保護マスクや保護ゴーグル、保護手袋などを着用してご使用ください。
また、体調に不安がありましたら、かかりつけのお医者様へご相談なさることをお勧め致します。

キシレンの取り扱いと購入方法について、質問があります。

病理用のキシレンだと思いますが、当方20年ほど前まで臨床検査技師をしており、自宅にて血液像の顕微鏡写真の撮影を行いたく、キシレンが必要となりました。
油浸レンズでの鏡検したのちのイマ―ジョンオイルの付着したプレパラート(ノンカバーグラス)を洗浄するためにキシレンが必要ですが、現在もこの方式がとられているのでしょうか。
また個人でのキシレン購入は難しくなっているようですが、購入方法若しくは、こうした用途に適する代用品はあるのでしょうか。500㎖もあれば十分なのですが、適切な方法があれば教えていただけますでしょうか。

医療現場にてメジャーとなって使用されている洗浄方法が、弊社工業薬品メーカーではわかりかねるのですが、ノルマルヘキサンなどが有効(キシレンよりも引火性は高いですが)かなと思います。
とはいえ、弊社での取り扱いが一斗缶からでございますので、ご質問の必要量であれば、成分を含め、試薬メーカー様にお問い合わせいただくのがよろしいかと思います。

揮発したキシレンは、吸い込むと倦怠感、吐き気、頭痛、食欲不信などの影響があるようですが、揮発したそのガスが目に染みて涙が出たり、鼻水が出たりするものでしょうか。

(一度 度普通の不織布マスクだけで作業したところ、頭痛、倦怠感、吐き気により数時間動けなくなったことがあります)マスクは、塗装周辺作業用のマスク(コウケンのハイラックマスク555を使用しており、匂いは顔とマスクの間に隙間ができない限り感じません。
涙や鼻水は、車の中で、袋に入れたキシレンを染み込ませた資材を乗せて運転していた時の状況になります。

ご使用されていらっしゃいますマスクは、「防毒マスク」ではなく、「防塵マスク」でございますので、有機溶剤をご使用になる際は「防毒マスク」をご使用ください。
症状に関しては個人差がございますので、一概にこうなるもの、ということはありません。そのため、ご心配であればかかりつけのお医者様にご相談なさることをお勧め致します。

この混合キシレンは、何と混ぜた場合、発火する恐れがあるでしょうか?調べたところ、不確定のため質問させていただきました。

硝酸などの強酸化剤と混ぜると発火するおそれがございます。

混合キシレンをガスマスク付きで使用したのですが、作業服のまま作業したせいか7日後に全身が痒くなっているのですが、遅延性なのか臓器にダメージが入ったのかわかりませんが痒いです。
キシレンが原因の可能性はありますか?

溶剤の耐性には個人差がございますので一概に申し上げることができません。
また、弊社では医師免許がございませんので、かかりつけのお医者様へご相談いただくようお願い致します。

 

質問No.11~

※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
キシレンの揮発性や、密封された容器での取り扱いについて、質問です。

レジンで作られたガレージキットを半年ほど袋タイプのLサイズのジップロックに密封していました。
その後レジンパーツからは少量ずつキシレンが揮発していると聞き、開ける時に中に留まっていたキシレンが漏れ出すのではと思うと怖くなってしまいました。

・健康被害等が出るほど揮発するものでしょうか。以前数日間箱に入れていて開封したときには確かに独特の匂いがしたので揮発しているのは間違いないと思います。今は匂いはしないので、ほぼ密封されていると思うのですが、そのぶん中に溜まっているのではと心配です。
・開けるときに何か気を付ける点はありますか?
・ジップロックの袋や、それに一緒に入れていたもの(布紐のついたプラスチックの虫籠です)にキシレンが移っていることはありますか?
・開けてもキシレンにより周囲の環境に影響を与えませんか?(近くに水田があったり、また井戸水を飲み水として使用する地域なので環境への影響が心配です)

レジンが完全に硬化してしまえば、キシレンは揮発性が高く、揮発後そこにキシレンの成分が残り続けることはありません。
レジンに含まれるキシレン以外の成分については、弊社では分かりませんので、レジンのメーカー様へご確認頂けますようお願い致します。

キシレンの取り扱い、処理方法、健康被害について、質問です。

キシレンを30%〜40%程度含む造形樹脂剤(複数の造形樹脂剤を合わせ硬化させて作る工作などの材料)を数年前に購入しました。
・未開封でも経年と共に劣化するのでしょうか。
・多少の樹脂剤を染み込ませたペーパーなどは燃えるゴミとして処分しても問題ないのでしょうか。
・使い切った容器(アルミ缶)は自治体に従って処分する予定ですが、空気に触れないよう箱に入れて直射日光・火気ないところで保管しておけば、発火などの心配はないのでしょうか。その他、気を付けた方が良いことはありますか。
・換気しながら使用後も、シンナー臭が続くのですか、健康被害はあるのでしょうか。

樹脂が入っていると、その樹脂の影響力がどの程度のものか分からないため、樹脂メーカー様にお問い合わせをお願い致します。

 

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