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化学規制
2017.03.31
毒物及び劇物取締法について①
毒物及び劇物取締法とは
省略して「毒劇法」と呼ばれることもあります
この法律は、人や動物が飲んだり吸い込んだり、あるいは皮膚や粘膜につくと生理的機能に害を与えるものについて、「毒物」または「劇物」として規制されています。
また、毒物または劇物は、製造業、輸入業、販売業の登録を受けなければ、販売または授与の目的で製造、輸入などの取り扱いをすることができません。
毒劇物って?
そもそも毒劇物とはどのようなものを言うのでしょう。
毒劇物と一言に言っても区分があり、「特定毒物」「毒物」「劇物」の3つに分類されています。
これらは、化学物質などがもっている、急性毒性に注目したとき、その毒性が強い順に「特定毒物>毒物>劇物」になっており、動物における知見から判断をして分類します。
次の章は少しグロテスクな表現がありますので、苦手な方はお気を付け下さい。
分類の基準
動物における知見
1.急性毒性
急性毒性を見るときによく目にするワードがあります。
「LD50」や「LC50」というものです。
LD50とは半数致死量のことです。
どのくらいの量で、投与された生物の半数が死亡するかという指標で、「Lethal Dose, 50%」の略です。
例えば 「経口 LD50:50mg/kg以下(ラットの場合)」と表記があれば、ネズミが、その物質を飲み込んだ際は体重1kg当たり50mgを摂取した際、50%の確率で死んでしまったということです。
LC50とは半数致死濃度のことで、「Lethal Concentration, 50%」の略です。
例えば「吸入 LC50:500ppm(4hr)以下(ラットの場合)」と表記があれば、ネズミが、大気中に含まれるその物質の濃度が500ppmの中に4時間いた際、50%の確率で死んでしまったということです。
急性毒性は、このLD50・LC50の値を基準としています。
(但し昨今では動物愛護の観点から、固定用量法などの他の基準を使う措置も採られはじめています)
少し話がそれてしまいましたが、毒物と劇物は、この指標を使って下の図のように区分されます。
経路 | 毒物 | 劇物 |
経口 | LD50:50mg/kg以下 | LD50:50mg/kgを超え、300mg/kg以下 |
経皮 | LD50:200mg/kg以下 | LD50:200mg/kgを超え、1000mg/kg以下 |
吸入(ガス) | LC50:500ppm(4hr)以下 | LC50:500ppm(4hr)を超え、2500ppm(4hr)以下 |
吸入(蒸気) | LC50:2.0mg/L(4hr)以下 | LC50:2.0mg/L(4hr)を超え、10mg/L(4hr)以下 |
吸入(ダスト・ミスト) | LC50:0.5mg/L(4hr)以下 | LC50:0.5mg/L(4hr)を超え、1.0mg/L(4hr)以下 |
2.皮膚に対する腐食性
劇物:4時間以内のばく露で皮膚組織が壊死するかどうかを観察します。
3匹の被験動物のうち1匹以上がそのようになったら劇物です。
3.眼等の粘膜に対する重篤な損傷
劇物:角膜や虹彩、または結膜に対する作用を観察します。
ヒトにおける知見
ヒトの事故例などを参考に毒性の検討を行い判定します。
その他の知見
化学物質の物理化学的性質、有効なin vitro試験などにおける知見によって、毒性や刺激性の検討を行います。
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