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化学規制

2017.03.29

PRTR制度について(令和5年4月1日より施行)

PRTR制度について(令和5年4月1日より施行)

 

PRTR制度とは

PRTR制度は、Pollutant Release and Transfer Register の略で、日本語で化学物質排出移動量届出制度を意味します。
この制度は化学物質から環境を保護してなるべく悪影響を与えないように、事業者による自主的な化学物質の管理を促しています。

これによって、毎年どのような化学物質がどの排出源からどれだけ排出されているのかを知ることができます

 

制度化の経緯

PRTR制度の先駆的なものは、1970年代にオランダ、1980年代にアメリカで導入と、欧米から広まっていきました。
国際的に広く認められるきっかけになったのが、1992年に開催された地球サミットです。
ここで採択された「アジェンダ21」や「リオ宣言」の中で、PRTR制度の位置づけやその背景となる考え方などが示されました。
その後から現在に至るまで、OECD(経済協力開発機構)を中心として積極的に普及され、加盟国をはじめ多くの国がPRTR制度を導入したり、導入をめざし取り組んでいます。
日本では1992年、化学物質排出把握管理促進法(化管法)により制度化されました。

 

PRTR制度の必要性

何故PRTR制度が必要だったのでしょうか?

従来の化学物質規則では、個々の化学物質に対しての有害性リスクしか追えませんでした。
ですが、様々な化学物質が持つ環境リスクを全体として低減させていくためには、行政・事業者・個人がそれぞれの立場から協力して環境リスクを持つ化学物質の排出削減に取り組んでいく必要性があります。

法律を調べるイメージ画像

そのため、どのような物質がどれくらいの量、どこからどこへ行っているのかなどの基本的な情報を全ての関係者で共有することが必要だったのです。

また、それぞれの活動や対策の効果を確かめるために、定期的な追跡・評価も必要でした。
そのために新しい化学物質の管理方法として、PRTR制度が導入されました。

 

PRTR制度の仕組み

PRTR制度には、大きく分けて3つの要素があります。

1.事業者による化学物質の排出量などの把握と届出

PRTR制度に指定された、有害性のある化学物質を製造したり使用している事業者は、

  • どのようなところからどれくらい環境に排出されたか
  • 廃棄物となって事業者の外にはこびだされたか

この2点を管理して、年に1回行政機関に届け出をします。

2.国による届け出事項の集計と公表

行政機関は事業所からのデータを整理し集計します。
更に家庭や農地、自動車などから排出されている対象化学物質の量を推計し、事業所からのデータと合わせて公表します。
PRTR制度に関連する届け出資料のイメージ

 

3.データの開示と利用

国は国民からの請求に応じ、個別事業所の届け出データを開示します。
また集計結果などを踏まえて、環境モニタリング調査および人の健康への影響に関する調査をします。

 

PRTR制度のおかげでわかること

PRTR制度の仕組みから、次のようなことがわかります。

  • 全国の事業者が環境(大気や水、土壌)中へ排出している化学物質の種類と量
  • 全国の事業者が廃棄物として事業所外へ移動させた化学物質の種類と量
  • 全国の家庭、農業、自動車などから排出される化学物質の種類と量の推計値
  • 化学物質別の排出量・移動量
  • 業種別の排出量・移動量
  • 都道府県別の排出量・移動量

一方で、人の健康や生態系への影響についての判断はできません。
PRTR制度を利用して得たデータに加え、個々の化学物質の有害性の程度や、分解・蓄積しやすいかなど、様々な要因と合わせて考えることが必要です。

 

PRTR制度の対象

対象事業者について

次の①~③すべてに該当する事業者が対象となります。

①政令で指定している24種の業種に該当する事業者

  業種
1 金属鉱業
2 原油・天然ガス鉱業
3 製造業
a 食料品製造業
b 食料・たばこ・飼料製造業
c 繊維工業
d 衣服・その他の繊維製品製造業
e 木材・木製品製造業
f 家具・ 装備品製造業
g パルプ・紙・紙加工品製造業
h 出版・印刷・同関連産業
i 化学工業
j 石油製品・石炭製品製造業
k プラスチック製品製造業
l ゴム製品製造業
m なめし革・銅製品・毛皮製造業
n 窯業・土石製品製造業
o 鉄鋼業
p 非鉄金属製造業
q 金属製品製造業
r 一般機械器具製造業
s 電気機械器具製造業
t 輸送用機械器具製造業
u 精密機械器具製造業
v 武器製造業
w その他の製造業
4 電気業
5 ガス業
6 熱供給業
7 下水道業
8 鉄道業
9 倉庫業
10 石油卸売業
11 鉄スクラップ卸売業
12 自動車卸売業
13 燃料小売量
14 洗濯業
15 写真業
16 自動車整備業
17 機械修理業
18 商品検査業
19 計量証明業
20 一般廃棄物処理業
21 産業廃棄物処理業
22 医療業
23 高等教育機関
24 自然科学研究所
②従業員の数が21人以上の事業者

全ての営業所・事業所で働く従業員の合計が21名以上の事業者が対象です。

③第一種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上の事業所を有する事業者、または他法令で定める特別要件施設を設置している事業者

特定第一種指定化学物質の場合、0.5トン以上で該当

取扱量というと分かりづらいですが、対象物質を1年間で使う量と、作る量の合算が1トンを超える事業所がある事業者が該当します。

また、「特別要件施設」というのは下記4タイプの施設の事を言います。

  • 鉱山保安法により規定される特定施設
  • 下水道終末処理施設
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律により規定される一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設
  • ダイオキシン類対策特別措置法により規定される特定施設

 

対象化学物質について

先ほど③で「第一種指定化学物質」と書きましたが、それがこの法律および化管法SDS制度の対象化学物質です。
「第一種指定化学物質」は全部で515物質が指定されており、環境中にも多く存在していますが、人や生態系への有害性があるとされているものです。(令和5年4月1日より、462物質⇒515物質に変更。)
このうち、より厳しい「特定第一種化学物質」に指定されているのが23物質で、これらは特に毒性が高いとされています。(令和5年4月1日より、15物質⇒23物質に変更。)
発がん性や生殖細胞変異原性、生殖発生毒性が認められているものがこの「特定第一種化学物質」です。

対象となる商品は、
第一種指定化学物質を1wt%(重量パーセント)以上か、
特定第一種指定化学物質を0.1wt%以上のものが対象です。
これ未満の含有率の場合は例外的に把握しなくても大丈夫なものです。

第一種指定化学物質の例(一部)
揮発性炭化水素 ベンゼン、トルエン、キシレン 等
有機塩素系化合物 ダイオキシン類、トリクロロエチレン 等
農薬 臭化メチル、フェニトロチオン、クロルピリホス 等
金属化合物 鉛類およびその化合物、有機スズ化合物 等
オゾン層破壊物質 CFC、HCFC 等
その他 石綿 等

また、「第二種指定化学物質」に指定されているのが134物質あります。(令和5年4月1日より、100物質⇒134物質に変更。)
第二種指定化学物質は、第一種指定化学物質と同じ有害性の条件に当てはまる物質で、製造量、使用量などが増加した場合には環境中に広く継続的に存在することとなることが見込まれる物質となります。
第二種指定化学物質については排出量等を国に届け出る必要はありませんが、第一種指定化学物質と同様SDSの提供が定められています。

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