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洗剤・溶解・剥離
2017.03.08
洗浄について①
洗浄とは
洗浄の中でも、産業洗浄について特化してお話すると、被対象物に付いている汚れを、物理的、化学的な力で除去し、清浄にすることです。
対象物としては、製品になるものは勿論のこと、機器・計器・冶具など、製品以外の洗浄もあります。
これらを洗浄することで、その機能を元に戻し、より正常な働きが期待できます。
大小関わらず、製造メーカーであれば、何らかの洗浄を行っているのではないでしょうか。
洗浄剤の種類
洗浄剤の分類としては、大きく分けると、
水系
溶剤系
の2タイプに分かれますが、今回はもう少し詳しく、特徴毎に4種類に分けてご説明致します。
①水系洗浄剤
無機系、有機物、界面活性剤や防錆剤などの混合物で、同じ水系洗浄剤でも大きく「アルカリ性」「中性」「酸性」の3タイプに分類されます。
これらは濃縮液や粉末の状態で入手してきて、使用する際に水で希釈して使うというタイプが多いです。
<水系洗浄剤のメリット>
- 洗浄液が不燃性である
- 特殊な汚れを除去できる
- 種々の洗浄法と組み合わせが可能である
<水系洗浄剤のデメリット>
- 酸やアルカリは安全性に問題がある
- 金属を腐食させるおそれがあるので、すすぎ・乾燥工程が必須
- 排水処理が必要
②準水系洗浄剤
溶剤に界面活性剤と水を加えたものと、水溶性溶剤に水を加えたものがあります。
高引火点の溶剤に水を加えることで、非可燃物として分類され、消防法の規制を受けなくすることを目的とした製品が主流です。
<準水系洗浄剤のメリット>
- 高精度の洗浄ができる
- 多くの金属、樹脂系素材に対応可能
- 安全性が高い
<準水系洗浄剤のデメリット>
- ランニングコストが高い
- 排水処理の負荷が大きい
- 再生が困難
③可燃性洗浄剤
引火点を持ち、水を含まない洗浄剤です。
水を含まないので金属に対する腐食性が小さく、乾燥性も高いものも多いです。油や樹脂に対して溶解力が高いのも特徴です。
但し、防爆仕様にしたり、作業者が揮発した洗浄剤を吸い込まない工夫をするなど、取扱いには水系とは異なる注意が必要です。
可燃性洗浄剤に代表されるのは、炭化水素系の洗浄剤と、アルコール系の洗浄剤のため、それぞれのメリットデメリットをあげていきます。
<炭化水素系洗浄剤のメリット>
- 油分解性が強い
- 毒性が低い
- 腐食、錆の心配が少ない
<炭化水素系洗浄剤のデメリット>
- 可燃性である
- 油系以外の汚れに対する溶解力が小さい
- 固形物の汚れには不向き
<アルコール系洗浄剤のメリット>
- 浸透性が良い
- 毒性が低い
- 樹脂素材に優しい
<アルコール系洗浄剤のデメリット>
- 可燃性である
- 比較的に溶解力が小さい
④不燃性洗浄剤
引火点を持たない溶剤です。
ハロゲン物質で構成され、塩素系・臭素系・フッ素系洗浄剤に更に分類できます。
特に塩素系は溶解力が高く安価であることから、昔からよく使用されてきた製品です。
消防法の適用外なので、在庫量に縛りがなく、設備が防爆仕様になっていなくても使えるというのがメリットとしてとても大きかったのです。
しかし、最近は発癌性物質であることから、塩素系や臭素系は代替の動きが活発です。
<塩素系洗浄剤のメリット>
- 洗浄液が不燃性である
- 洗浄力が高い
- 乾燥性が良い
<塩素系洗浄剤のデメリット>
- 毒性が高い(発癌性物質に指定されているものが多い)
- 種々の法規制に抵触(特化則、PRTR法など)
- 産廃処理費用が高い
<臭素系洗浄剤のメリット>
- 洗浄液が不燃性である
- 油分解力が高い
- 塩素系の洗浄機がそのまま使用できる
<臭素系洗浄剤のデメリット>
- 毒性に懸念がある(欧米では有害性が認められている)
- ランニングコストが高い
<フッ素系洗浄剤のメリット>
- 洗浄液が不燃性である
- 毒性が低い
<フッ素系洗浄剤のデメリット>
- ランニングコストが高い
- 溶解力が低い
環境対応型の洗浄剤の選び方
条件を整理したうえで、各用途別に選ぶ!
条件の整理
条件を整理するにあたって、着目点をまとめてみました
洗浄剤の条件
- 洗浄力
- 乾燥性
- 安全性(引火点、毒性など)
- 法規制
- 使用量、単価
洗浄機の条件
- 機械洗浄(蒸気洗浄、シャワー洗浄、超音波洗浄、浸漬洗浄など)
- 手拭き、浸漬、吹き付け、など
汚れの条件
- 状態(液体、固体 など)
- 種類(加工油、切削油、インク、塗料、樹脂、など)
部品の条件
- 材質
- 形状
- 大きさ
用途の整理
環境対応品は毒性が小さくなる分、溶剤自体の溶解力が劣るので目的に合ったものを選ばないと効果を発揮しません。
- 油系の洗浄用途
- インク系の洗浄用途
- 塗料系の洗浄用途
- 樹脂系の洗浄用途
- その他
※不燃系の溶剤から変えるときは、下記の点に特に注意してください
- 作業場が不燃性の溶剤用の設備で、防爆仕様になっていない
- 新しく設備を変えるのに高額な設備投資が必要になる
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