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有機溶剤
2024.12.10
モノエタノールアミン(MEA)の代替品~毒性、沸点、劇物かどうかなど解説~
モノエタノールアミン(MEA、別名:2-アミノエタノール)は、汎用的に使用されているアミン類の有機溶剤です。
医薬品や農薬、ゴム薬、界面活性剤などの合成原料、切削油や潤滑油などの添加剤、乳化剤、ワックス、pH調整剤、中和剤など様々な用途で使用されていますが、有害性が高い特徴があります。
ここではモノエタノールアミンの特徴と代替品について解説していきます。
目次
モノエタノールアミンとは?その特徴と有害性
モノエタノールアミンは上の図のような構造をしたアミン系の有機溶剤です。
物性や法規制、毒性(健康に対する有害性)は以下のようになっています。
項目 | 内容 |
商品名 | モノエタノールアミン |
別名 | 2-アミノエタノール |
CAS番号 | 141-43-5 |
比重 | 1.018 |
沸点 | 171℃ |
凝固点 | 10.5℃ |
引火点 | 85℃ |
消防法 | 第三石油類水溶性液体 |
有機溶剤中毒予防規則 | 非該当 |
毒物及び劇物取締法 | 劇物 |
PRTR制度 |
第一種指定化学物質 |
健康に対する有害性区分 |
急性毒性(経口) 区分5 |
基礎物性について
モノエタノールアミンは引火点が85℃と高く、消防法は第三石油類の水溶性に当たります。
アミン類のため、水に溶解すると、アルカリ性を示します。
注意すべき点として、モノエタノールアミンは融点が10.5℃のため、冬に外気温に晒していると凍ります。
一度固体になってしまうと、溶解させるのは容易ではないため注意が必要です。
法規制について
モノエタノールアミンは有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)といった法規には非該当ですが、毒物及び劇物取締法において劇物に該当し、PRTR制度においても第一種指定化学物質に該当します。
モノエタノールアミンを原料の一部として使用する場合、出来上がった製品は劇物には当たりませんが(原料の構成にもよる)、PRTR制度に関してはSDS上に記載する必要があり、特に大量に製品を使用するユーザーからは懸念されます。
関連記事:化管法(PRTR制度)について
有害性(毒性)について
モノエタノールアミンは劇物のため、急性毒性があります。
また、皮膚腐食性が区分1A、眼刺激性が区分1、皮膚感作性が区分1と高く、モノエタノールアミンを含んだ製品を使用する際には保護具の着用が必要です。(保護具の着用が義務化されています)
また、特定標的臓器毒性(単回曝露)、特定標的臓器毒性(反復曝露)も区分1(中枢神経系等)があり、有害性が高いことが分かります。
モノエタノールアミンの代替「N-メチルエタノールアミン」
モノエタノールアミンの代わりに使用できるアミン類として、N-メチルエタノールアミンがあります。
物性や法規制、毒性(健康に対する有害性)は以下のようになっています。
項目 | 内容 |
商品名 | N-メチルエタノールアミン |
別名 | 2-メチルアミノエタノール、メチルエタノールアミン |
CAS番号 | 109-83-1 |
比重 | 0.94 |
沸点 | 155~156℃ |
凝固点 | -4.5℃ |
引火点 | 72℃ |
消防法 | 第三石油類水溶性液体 |
有機溶剤中毒予防規則 | 非該当 |
毒物及び劇物取締法 | 非該当 |
PRTR制度 |
非該当 |
健康に対する有害性区分 |
急性毒性(経皮) 区分4 |
基礎物性について
モノエタノールアミンと同様に消防法第三石油類水溶性液体に当たり、引火点は72℃と高いです。
また、N-メチルエタノールアミンの凝固点が-4.5℃のため、モノエタノールアミンよりは凍結の心配がないため、ハンドリングのしやすさが特長です。
法規制について
有機溶剤中毒予防規則(有機則)、PRTR制度、毒物及び劇物取締法に非該当のため、法規的な制約はありません。
有害性(毒性)について
アミン類は皮膚腐食性・刺激性、眼刺激性があるため、N-メチルエタノールアミンにも同等の区分1が付いています。
しかし、モノエタノールアミンと比べると、N-メチルエタノールアミンには急性毒性(経口)や皮膚感作性、特定標的臓器毒性(単回曝露)がないため、有害性が低いと言えます。
有害性の比較を以下の表にまとめました。
項目 | N-メチルエタノールアミン | モノエタノールアミン |
急性毒性(経口) | 区分5 | |
急性毒性(経皮) | 区分4 | 区分4 |
皮膚腐食性・刺激性 | 区分1 | 区分1A |
眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性 | 区分1 | 区分1 |
皮膚感作性 | 区分1 | |
特定標的臓器毒性(単回曝露) | 区分1(中枢神経系、呼吸器、肝臓) 区分3(麻酔作用) |
|
特定標的臓器毒性(反復曝露) | 区分1(精巣) | 区分1(中枢神経系) 区分2(呼吸器) |
N-メチルエタノールアミンはモノエタノールアミンに代替となるか?
結論、既に国内でモノエタノールアミンの代替品として使用されている実績があるため、N-メチルエタノールアミンはモノエタノールアミンの代わりに使用できます。
理由として、以下のことが考えられます。
①構造式が似ている
上記のモノエタノールアミンとN-メチルエタノールアミンの構造を比較した時に、非常に似た構造をしています。
アミノ基を末端にもつモノエタノールアミンに対し、N-メチルエタノールアミンはアミノ基が2番目の配置になっただけの構造となっています。
②分子量が近い
アミン類には様々な種類がありますが、モノエタノールアミン以外となると、ジエタノールアミン、ポリエタノールアミンなど分子量が大きくなる傾向にあります。
モノエタノールアミンとN-メチルエタノールアミンの分子量は以下です。
化学品名 | 化学式 | 分子量 | 構造 |
モノエタノールアミン | C2H7NO | 61.08 g/mol | |
N-メチルエタノールアミン | C3H9NO | 75.11 g/mol |
ジエタノールアミンになると分子量が105.14 g/molとなり、大きく乖離が出てしまいます。
アミン類が使われる目的は様々ですが、構造が似ていて、分子量も近いという特徴から代替品として使用されています。
弊社ではN-メチルエタノールアミンの取り扱いをしております。
N-メチルエタノールアミンのお問い合わせに関してはこちらからお問い合わせください。
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