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【特設】アスベスト・塗材関連

2017.01.31

アスベストについて①

アスベストについて①

 

アスベストとは

鉱山で採掘される天然のケイ酸塩を主成分とする繊維状の鉱物のことを言います。別名「石綿」とも呼ばれています。
名前の「アスベスト」は、ギリシャ語の「永久不滅(asbestos)」が語源です。
耐熱性、耐薬品性に優れていて、断熱・防火・防音性も高いので、建材を中心に幅広い用途で使われていました。

しかし、1960年代にはアスベストによる肺がんや中皮腫などが確認され、日本では1975年に吹き付けアスベストの原則使用禁止、2004年には含有率1%超の製造・使用などが禁止、2006年には含有率0.1%超で製造・使用が禁止されるようになりました。

建築で使用されたアスベストの写真

※一部の代替技術が確立されていない分野の部材については猶予がありましたが、2012年にはすべての代替技術が確立したので全面製造禁止となりました。

 

アスベストの種類

アスベストの種類は6種類ありますが、大きく2タイプに分けられます。

蛇紋石族

クリソタイル(白石綿)・・・最も多く使用された石綿

角閃石族

クロシドライト(青石綿)
アモサイト(茶石綿)
アンソフィライト
トレモライト
アクチノライト

 

主な使用用途について

  分類 製品の種類 主な用途
建材 吹き付け材 吹き付け石綿・石綿含有ロックウール・石綿含有吹き付けバーミキュライト・石綿含有パーライトなど 鉄骨の耐火被覆、内壁・天井の吸音・断熱、天井の結露防止
保湿剤など 石綿含有保湿剤 配管やボイラー等の保護
石綿含有耐火被覆材 鉄骨などの耐火被覆
石綿含有断熱材 屋根裏の結露防止、煙突の断熱
成形板など 石綿含有ロックウール吸音天井板 天井の吸音
ビニル床タイル、ビニル床シート
パルプセメント板 内壁、天井、軒天
スレート・木毛セメント積層板 屋根の下地、壁
石綿セメント円筒 煙突、ケーブル保護管、温泉の送湯管、排水管など
押出成形セメント板 屋根材として張られた板の上に葺く化粧板
繊維強化セメント板 屋根、外壁、内壁、天井、軒天、耐火間仕切り
窯業系サイディング 外壁
非建材 摩擦材 クラッチフェーシング クラッチ
クラッチライニング
ブレーキパッド ブレーキ
ブレーキライニング
接着剤 断熱用接着剤 高温下で使用する工業用断熱材同士の隙間の接着
石綿紡織品 石綿糸、石綿テープ グランドパッキンなどの原料
石綿布 石綿手袋、衣服、前掛け、耐火カーテン、石綿布団など
シール材 石綿含有ガスケット 配管用フランジなどの静止部分
石綿含有パッキン ポンプの軸封などの運動部分
電気絶縁板 電気絶縁用石綿セメント板 配電盤など

 

アスベスト(石綿)関連疾患について

石綿健康被害救済制度の対象となる主な疾病は以下です。

中皮腫

肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃を取り囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜、精巣鞘膜にできる悪性の腫瘍のことです。
咳き込む人のイメージ

石綿による肺がん(原発性肺がん)

原発性肺がんは気管支あるいは肺胞を覆う上皮に発生する悪性腫瘍のことです。喫煙をはじめとして、石綿以外、多くの原因で発生します。

石綿肺および慢性胸膜肥厚

(※著しい呼吸障害を伴うものが救済の対象です)
石綿肺は石綿を大量に吸入することによって、肺が線維化する「肺じん」という病気の一つで、呼吸困難をひきおこします。
石綿以外の鉱物性の粉じんや、その他多くの原因で肺じんは発生しますが、石綿のばく露によって起きた肺線維症を特に「石綿肺」と呼んで区別しています。
びまん性胸膜肥厚は肺を覆っている臓側胸膜の慢性線維胸膜炎の状態をいい、通常は胸を覆っている壁側胸膜にも疾病が及んで、両者が癒着していることがほとんどです。

 

アスベストの処理方法について

アスベストは国によって定められた処理基準と処理方法に基づいて、適切に処理しなければなりません。
処理方法には、状況に応じて以下の方法があります。

  • 埋め立て処理
  • 溶融処理
  • その他の無害処理

ですが、いずれの方法でも、必ず専門業者に委託し、適正処理を行うことが必要です。
アスベスト廃棄物には飛散性アスベスト廃棄物と非飛散性アスベスト廃棄物に分かれます。

飛散性アスベストに該当するもの(特別管理産業廃棄物)

廃石綿および石綿が含まれる、もしくは付着している産業廃棄物のうち、石綿建材除去事業にかかわるもので、飛散する恐れのあるものが該当します。
たとえば、石綿建材除去作業によって除去された吹き付け石綿や石綿保湿材、石綿に付着している養生材などです。また、石綿が付着しているおそれのある、除去作業に用いられた用具または器具も該当します。

非飛散性アスベストに該当するもの(石綿含有産業廃棄物)

工作物の新築、改築又は除去によって生じた産業廃棄物で、その重量のうち0.1%以上の石綿を含有する物(※廃石綿などを除く)が該当します。
たとえば、繊維強化セメント板(スレートなど)、パーライト板、窯業系サイディング、パルプセメント板、住宅屋根用化粧スレート、石綿セメント円筒、木毛セメント積層板などがこれに該当します。

 

処理方法

埋め立て処理

名前の通り、埋め立てをして処理する方法です。
アスベストの処理の中では最もポピュラーな方法ですが、アスベストを飛散させないよう固化しなくてはいけません。

溶融処理

高炉で溶融をおこなって処分する方法です。クリソタイル(白石綿)は融点が1521℃もあるので、それ以上で処理できる高炉がなくてはいけません。炉内は石綿の溶融に十分な温度を保つこと、また、処理する際に石綿が大気飛散をしないように徹底することが求められます。

無害化処理

石綿を非石綿化、非繊維化することをいいます。
アスベストの主成分はケイ酸マグネシウムですが、ケイ素とマグネシウムの結合を切断し、更に繊維状態を無くし非繊維化します。
こうすることで、人体に取り込まれてしまっても繊維質が刺さらなくなり、中皮腫や肺がんを引き起こさないようにするのがこの無害化処理です。

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