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【特設】コロナウイルス関連

2020.06.03

除菌用にエタノールを希釈するなら水道水

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WHOは新型コロナウイルスによる病気の正式名称を「COVID-19」に決定。新型ウイルス自体の名前は、国際ウイルス分類委員会(ICTV)で「SARS-CoV-2」と決められました。

日本では、コロナウイルスの第2波が騒がれていますが、上記の記事をはじめとする多くのアルコール関連の記事に、高濃度エタノールを除菌用に水で希釈する場合、精製水を使うべきかというお問い合わせが多くございましたので記事に致します。

 

結論:精製水でなく水道水で無問題!

皆様は「ミネラルウォーター」を購入して飲んだことがありますか?

水道水が飲める日本にいると「水を買う」ということに割高感がありますが、ミネラルウォーターは海外から輸入しても商売になるという優れものです。中には氷河期に形成されたアルプスの地中深い地層の中を約15年の歳月を経て磨き抜かれた雨や雪を、一瞬たりとも外気に触れさせることなく採水地でボトリングしたという製品などもあるようです。

日本では、全てのミネラルウォーターに「殺菌処理」が義務付けられているのに対し、EUでは逆に「殺菌しないこと」が義務付けられています。
代わりにEUでは、水源含む一帯が厳しいEUの基準に基づきあらゆる汚染から保護されており、殺菌しないことによってミネラルウォーターが持つ「よさ」を保つ考えです。海外のミネラルウォーターのメーカーも、そういった水源の保護活動に力を入れているようです。中には水源の周りのエリア内が、全面的に人々が活動禁止にされているところもあるようです。

2020年4月10日、各都道府県の保健所設置市の特別区衛生主管部(局)宛に厚生労働省医政局経済課、他1局2課の事務通達が出ました。
内容としては、「新型コロナウイルス感染による手指消毒エタノールがひっ迫しているので、臨時的・特例的な対応として、医療機関等においてやむを得ない場合に限り(※1)高濃度エタノール製品を手指エタノールの代用品として用いることは差し支えないこと」というものです。
この、「高濃度エタノール製品」というのは下記のものを指します。

●エタノール濃度が70~83vol%の範囲内であること(消毒効果が十分に与えられるよう、これ以上の濃度のものは精製水等で同範囲に薄めて使用すること)(※2)

●含有成分にメタノールが含まれないものであること

そして通達の最後に、「本製品は医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として手指消毒に使用することが可能です」という内容を製品の広告に記載して差し支えないことが書かれています。

※1…医療機関等とは、国内の以下の施設や団体、人物をさします

  • 病院、診療所、介護老人保健施設、薬局、その他医療を行う機関
  • 医療関連研究機関等
  • 医学・薬学・ライフサイエンス系の学会、研究会、財団法人等
  • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師とその他の医療従事者
  • 医療業務関係者や医学・薬学・ライフサイエンス系の研究者等

※2…精製水等で同範囲に薄めるとは

今回のテーマである薄める水についてですが、皆様の常識としての「精製水」はどのように皆様入手なさいますか?
薬局やドラッグストアで買う、カー用品のお店でバッテリー補填液(精製水)を買う?
どちらも、ミネラルウォーター同様、「買う」ですね。

一般的に世間で売られている「精製水」は、イオン交換、逆浸透膜などで水道水を処理し、有機物やイオン成分の大半を除去した水で、微量の有機物などが残っているので菌が増殖しやすいだけでなく、開封後は新たに雑菌を含む空気が入るために早めに使い切る必要があります。
より純度を高めた「純水」や「超純水」は値段も高く実用性がありません。

鋭い方はすでにお気づきになられたかもしれませんが、通達には「精製水等」の「等」とは何でしょう?
法治国家のわが国にはインターネット等最近誕生した技術革新とその関連以外はすべての分野に法律・条例・通達等のガイドラインなどの指針があり、医薬関係は日本薬局方にあたります。
日本薬局方の基準を満たしているものを「医療用精製水」と言います。これが一般常識と違います。
医療用精製水は以下の4つに分類されており、それぞれ規定があります。

  • 常水
  • 精製水
  • 滅菌精製水
  • 注射用水

不純物やイオン濃度などの規定はありますが、微生物の数については特に規定がありません。

日本薬局方の通則についての質問と回答

日本薬局方2 常水、精製水、滅菌精製水及び注射用水の医薬品各条改正について

Q29.新薬局方の「常水」で「水道法第4条に基づく水質基準(平成15年厚生労働省令第101号)に適合する」旨の規定があるが、各自治体が条例で独自に規定している規格への適合を求めるものではなく、水質基準(水道水質基準)に適合することを求めている規定であることを確認したい。

A29.その理解でよい。なお、水道法第4条に基づく水質基準(平成15年厚生労働省令第101号)が一部改正された場合も、日局「常水」の条文はそのままであるが、改正後の水質基準の規格に適合する必要がある。

つまり、水道法第4条に基づく水質基準(平成15年厚生労働省令第101号)を満たしているのは、日本薬局方の“常水”として“医療用精製水”と考えて良いと言う事になります。
ここで事務通達のいう「等」ではないか考えるわけですが、もしも「等」が「純水」のことだと言われたら、それなら結果として価格が沸騰している消毒用エタノールを買えということになるのではないですか? と聞きたくなります。

実は他に下記のようなものが出ています。
令和2年4月16日、厚生労働省医政局経済課、他1局2課の事務通達「薬局において高濃度エタノールを取り扱う場合の注意すべき事項について整理」

その別添、使用の手引き 2.調整方法 (2)調整にあたっての注意事項
6)手術野、創傷面等以外の一般的な手指・皮膚の消毒に使用する場合は、精製水の代わりに水道水で薄めることでも差し支えないこと

ここまでたどり着いて、昔、税金(にまつわる法律の節税運用)の研究が大好きだった人の言った「法律を知れば徳になるのだ!」という言葉を思い出しました。

水道水は水道法第4条に基づき、(「水質基準に関す る省令」平成15年5月30日厚生労働省令第101号)水質基準が設定され 1番:一般細菌 2番:大腸菌~48番:味 49番:臭気 50番:色度 51番:濁度 まで毎日から3ヶ月に一度迄細かく定められた検査基準に従い日々供給されている物です。

殺菌成分として残留塩素が0.1mg/L入っていますので、3割高濃度エタノールに入れて使い残した“精製水”より雑菌繁殖について有利です。安価でもあります。

そのため、水道水を使用し高濃度エタノール製品を希釈していただいてよいのです。

資料:

水の種類 製法など 主な用途 局方収載 無菌製剤
常水 通例、水道水および井戸水を指す。 調剤用水、洗浄用水、飲料水など
減菌水 「常水」を減菌したもの。発熱性物質を含有する恐れある。 調剤用水、洗浄用水
精製水 「常水」を蒸留、イオン交換、超ろ過またはそれらの組合せにより精製した水。細菌による汚染に注意して用いること。 製剤原料など
減菌精製水 「精製水」を減菌したもの。減菌ではあるが、発熱性物質を含有する恐れがあるため、注射剤の調整に用いない。 点眼剤などの調整水
注射用水 「常水」または「精製水」の蒸留,または「精製水」の超濾過により注射剤の調整に用いるもの,またはこれを容器にいれて滅菌したもの。超濾過を用いる場合は, 微生物の膜透過に注意すべきである。 注射剤の調製
(注射用水を作製した後, ただちに用いる。一夜保存まで可とする)
注射用蒸留水 「常水」または「精製水」を蒸留した場合,注射用水の別名として,「注射用蒸留水」と表示できる。 上に同じ
生理食塩液 塩化ナトリウム(0.85~0.95w/v%) と注射用水を注射剤の製法により製したもの。保存剤を含まない。 注射剤の調製
生体内の無菌・等張の洗浄用水

 

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