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洗剤・溶解・剥離

2024.11.20

溶着について

溶着について

 

溶着とは

溶着とは樹脂同士を接着させるときに、双方の樹脂自体を溶かし、二つの樹脂を接着させることです。
この時の樹脂として多いのは、ポリカーボネートやABS、アクリル(PMMA)、塩化ビニルなどです。
溶着と一言で言っても、熱で溶かして接着する「熱溶着」や、「超音波溶着」、「熱風溶着」(溶接)など様々な方法があります。

身近な場所での溶着

一番身近なのは、プラモデルの溶着です。

 

プラモデルを組み立てる際、瞬間接着剤のようなもので部品と部品を付けることもありますが、大抵はプラモデル専用の接着剤を使います。流し込みタイプのさらさらした接着剤などは大抵溶着剤です。

プラモデルイメージ

接着剤は接着剤自体が硬化して、二つのものをくっつけますが、溶着剤はくっつけたいもの同士を溶かしてそれらが硬化することで二つのものがくっつきます。

このほかにも、たとえば水族館でも溶着は用いられます。
魚が泳ぐ水槽のガラスのような透明な板です。これはアクリル板を使っているのですが、大量の水の水圧に負けないように、アクリル板を何枚も重ねてくっつけています。
そのくっつける作業にも、溶着の技術が用いられています。

接着と溶着のしくみ イメージ図

 

溶着に使われる溶剤って?

溶着で使われる溶剤には条件が二つあります。

一つ目は、溶剤自体の溶解力の強さです。樹脂同士を溶かしてくっつけるため、樹脂を溶かせるだけの強力さが必要です。

二つ目は、溶剤の乾燥の早さです。樹脂同士を合わせるまではもちろん溶剤が残らないといけませんが、接着面を合わせた後は早く乾いてもらわないと樹脂が溶けすぎてしまったり、作業効率に支障がでてしまいます。

この二点を抑えていて、よく使用される溶剤として「メチレンクロライド(塩化メチレン)」があります。
溶解力が強く、乾燥性もかなり早いことから市販で溶着剤として販売されています。
このほかにも、アセトンやMEK(メチルエチルケトン)のような溶剤を使用している溶着剤もあります。

 

溶着剤使用の際の注意

溶着剤は主成分が溶剤であることから、溶着剤を使う際は必ず換気をしましょう。
換気をしないと、ものによっては頭痛やめまいなどの症状を引き起こす原因となります。
その溶着剤にどんな成分が入っているか気になる方は、商品の裏にある成分欄を見たり、メーカーさんに問い合わせるといいでしょう。

 

溶着に関する質問

※2024年11月20日更新

以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)

質問No.01~10

※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
釣具のルアーの製造に携わる者です。ABS樹脂のボディを溶着する際にメチクロを使用しております。換気とマスク程度で1日5時間程度作業しておりますが防毒マスクなど徹底すべきでしょうか?

使用量にもよりますが、メチレンクロライドは、使用する場合局所排気装置防毒マスクが必要な溶剤です。

プラモデルでジクロロメタンを使ってましたが、溶着って水族館のガラス?にも使っているんですね!これももしかしてジクロロメタン使ってるんですかね?

水族館の水槽の壁は、ガラスではなくアクリルという樹脂で、こちらの溶着には現在ジクロロメタン(別名塩化メチレン、メチレンクロライド)が主流です。ご家庭用の水槽も同様の傾向が見られます。
ジクロロメタンと言いますと有害性が高いように思われますが、製品はすでに乾燥しているため、有害物質もすべて揮発し飛んでいっていますので、水槽が危険、というわけではありませんのでご安心ください。

自動車外板部品の加工で、PC-ABSのパネルを一旦切断し再び接合したいのですが、どのような接合方法がベストか教えて頂けませんか?
具体的にはエンブレム取付部分が楕円に窪んでいるので、楕円の形で切断。他の面と面一で接合したいのです。

強度を出されたいのであればメチレンクロライド(ジクロロメタン)(塩化メチレン)をお使いになるか、プラモデル用の流し込み接着剤のようなもので接合されるとよいと思います。
メチレンクロライドは毒性が強いので、しっかり換気をなさって、保護具をお付けになって作業されてください。

ABS樹脂をアセトンで溶着した場合、溶着部分の耐久性は元のABS樹脂に比べて劣りますか?アセトンがABS樹脂の溶着部に残って劣化するようなことはあるのか心配です。

耐久性に関しては試験の必要がございますが、乾燥してしまえば、アセトンの成分が溶着部に残ることはございません。

アクリル板に不必要な部分に零してしまったので拭き取ろうと試みようとしましたが手遅れ。薄っすら白く変色したりして透明度少し低くなりました。何か方法はあるでしょうか?

白くなった部分は、表面が荒れ、光が乱反射して白く見えてしまっている状態になるので、溶着剤を塗布してそのまま放置することで、表面が滑らかになり透明度を取り戻せる可能性があります。

アクリルの成形品同士(完成品寸法150㎜×200×30㎜)の溶剤による溶着を検討しています。弁当箱の蓋と箱を溶着するイメージで箱の縁と蓋の縁を溶着し密閉性持たせたいのですが、このような溶着は可能でしょうか?
もし難しいならば、硬質塩ビの場合は大丈夫でしょうか?

アクリル成形品の溶着は可能です。平滑な面同士をくっつけて溶着してください。硬質塩ビでも、溶着できます。

プラモデルを例題に出されておりますが、ご存じプラモデルにもABSのパーツが局所的に使われます。その際、例題にもありましたとおりにパーツ同士を溶着したいと考えた場合、以下の場合、ベストな方法(溶剤)はどれなのでしょうか?

・軸穴など対象に力の負荷がかかる箇所で強度がいる場合
・とにかくパーツの合わせ目をあたかも1パーツだったかのようにキレイに消したい場合
ブチル、酸化エチレンなど色々調べましたが、結局これを使うのがよいというマテリアルまでたどり着きませんでした。。。

一般的にABSの溶着にはMEKが使用されています。また、プラモデルの流し込み接着剤と呼ばれる製品がよろしいかと思います。

TPU製品(比較的肉厚で硬度がある)の亀裂補修方法に悩んでいます。TPU破面を溶着出来る有機溶剤は無いでしょうか?
熱溶着(熱風溶接)は可能のようですが、方法自体が難しい上、仕上がり・強度とも劣るため他の方法を探しております。

分子構造上は可能ですが、なにで溶けるかは不明で、また、できたとしても強度が落ちるのではないでしょうか。

アクリル板でケースを自作しています。アクリサンデー接着剤(二塩化メチレン)を使っていますが、硬化が早いため、溶着面に気泡が入って困ることが時々あります。
①もう少し硬化の遅い接着剤、または②アクリサンデーを使いつつ硬化時間を遅くする方法(薬剤を混合する??)等々ご存知でしたらお知らせ下さい。

同じような用途でご使用になれる乾燥性の遅い有機溶剤は「トリクロロエチレン」になりますが、お混ぜになるのは、乾燥性にムラが生じやすくなってしまいますので、お勧めできません。
二塩化メチレンの乾燥スピードが速い場合、塗布量で乾燥速度を調整されるのが良いかと思います。

AESにABSのブロックをMEKにて溶着していますが、溶着があまいようでブロックが外れてしまうようなときは、どのような原因があるのでしょうか?
また、溶着不良がないようにしたいのですが、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?

溶着があまいと感じる場合は、MEKの塗布量を増やしたり、乾燥時間を長めに設けたり、乾燥するまでの間の二つの部材を合わせておく力を強くしたりすることで改善される可能性があります。

 

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