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身近な有機溶剤

2019.01.28

冬場の塗装作業はなぜ難しいのか

冬場の塗装作業はなぜ難しいのか

 

物を乾かすこと

紙に線をひいて、明らかにその線の部分のインクが乾いていない…
糊が乾かなくてベタベタ…
そんな時、皆さまはどうなさるでしょう?

塗った部分を手やうちわなどで仰いだり、息を吹きかけたり、暖かいところに置いたりすることでしょう。
物を乾かすには、その中に含まれている液体を蒸発させなければなりません
そのためには温度と湿度が重要になってきます。
上記の「早く乾かしたいときに我々がとる行動」は、このことが経験的に分かっているからくる行動なのです。

物が乾く仕組み

物が乾く際、温度と湿度が重要になると書きましたが、どのように関係してくるのでしょうか。
洗濯物を屋外干しする場合を思い浮かべてください。
気温が高く湿度が低いほど洗濯物に含まれる水分は水蒸気となって蒸発しやすくなります。
洗濯物の乾きやすさでいえば、春・秋・冬 よりも 夏 の晴れの日の日中が一番乾きやすいというのは多くの人にご納得頂けるかと思います。

 

塗料も乾燥には温度と湿度が重要

塗料、特に建物の外壁や鉄橋などにぬる塗料にも「温度」と「湿度」が重要になってきます。
主に屋外で用いられるこの塗料は「溶剤系塗料」と呼ばれ、塗膜として残る樹脂などを有機溶剤で溶かしている塗料です。
溶剤系塗料が洗濯物と違うのは、蒸発するのが「水」か「有機溶剤」かというところだけでなく、化学反応により残った樹脂が立体的な網目構造を作って硬化する点です。
酸化重合型や反応硬化型など、硬化の方法にはいくつかの種類があります。

塗装に最適な気候とは

用いる塗料ごとに、具体的な施工条件は違います。
ですが一般的に塗装に最適な気候は

  • 気温25℃付近
  • 湿度65%付近

といわれています。
また、塗料は塗装面の温度にも影響を受けます。
塗装面の温度が50℃付近になると、塗膜に泡が発生して綺麗に塗れません。
逆に気温や塗装面が10℃以下になると有機溶剤の蒸発や硬化反応が遅くなり塗膜の形成に支障を来たすことがあります。

さらに高湿度、つまり雨や雪が降ったり結露や霜ができやすい状況での塗装は、塗装面に水分が付着し、塗膜同士の密着が弱まり仕上がりの不良に繋がります。
気候をしっかり考慮しなければ、塗膜がはじかれてしまったり、シワになってしまったりして耐久性がなくなり、容易に剥がれてしまう場合がありますので注意が必要です。

 

季節による塗装の難易度

上記のように塗装作業は湿度と温度の影響を受けるため、季節によって塗装に向いている時期とそうでない時期があります。

難易度 難 ☆ ☆ ☆ ☆ ★ 易
春雨前線によって雨が降る可能性がありますが、気温、湿度ともに安定していて塗装に適するシーズンです。天候には注意しましょう。

梅雨

難易度 難 ☆ ★ ☆ ☆ ☆ 易
梅雨前線により雨が続き、高湿度になりやすく、塗装にはあまり向きません。避けることをお薦め致します。

難易度 難 ☆ ☆ ★ ☆ ☆ 易
台風やにわか雨、ゲリラ豪雨などが多い時期ですが、晴れの日も多く、また気温が高いため比較的塗装に適しています。但し、塗装面の温度が高くなりやすいため、屋根など施工場所によっては気温が低めの時間帯(早朝など)から塗装するなどの配慮が必要です。

難易度 難 ☆ ☆ ☆ ★ ☆ 易
秋雨前線や台風により雨となる可能性はありますが、それを除けば気温、湿度ともに安定していて、塗装に適しているシーズンです。

難易度 難 ★ ☆ ☆ ☆ ☆ 易
乾燥し温度がさほど低くならない地域では塗装が可能ですが、降雪地帯では11月後半~3月ごろまで塗装ができません。

また、凍結や結露、霜が発生しやすく、気温が5℃以下になることが多いため、塗装作業には経験と技術が必要になります。加えて、雪が振り込まないよう屋根を組んだり、建物を養生シートで覆った後に大型の業務用ヒーター(ジェットヒーター)で暖かい空気を送り込むなどの特別な配慮が必要になることもあります。

 

まとめ

このように、特に冬季は他のシーズンに比べ塗装を行うのが難しく、施工はできる限り避けた方が無難といえます。
どうしても施工しなければならない場合には朝晩を避け気温の高い日中に作業を行うなどの工夫が必要です。

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