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化学用語解説
2018.12.18
離型剤について
目次
生産工学の王
ドイツでは『生産工学の王』と呼ばれているものがあります。
何のことをいうのか、皆様ご存知でしょうか。
実は「金型」のことをこのように呼ぶのです。
金型とは読んで字の如く「金属でできた型」のことです。
たい焼きやさんのたい焼き器も金型の一種です。
たかが金型に何故生産工学の王だなんて大それた異名がつくのか?
そう思われた方は少なくないはずです。
この威厳ある異名の理由は、金型のおかげで同じ品質の製品を、<短時間で><大量に>作ることができるところからきています。
仮に、たい焼き器がない世界のたい焼き屋さんを考えてみましょう。
たい焼き器がないため、平らな鉄板の上でどろどろの生地から鯛の形を作る必要がありますね。
焼けた生地を切ったり削ったりして鯛を作っていくのでしょうが、鯛の形が作れるようになるまでかなり訓練が必要でしょうし、1個のたい焼きを作るのに時間がかかるため、人件費や手間賃などを考慮し、とても1個100~200円程度で売れるような商品にはならないでしょう。
たい焼き器のおかげでわたしたちは美味しくて安価なたい焼きをいつでも食べることができるのです。
金型をうまく使うには
金型を使って作ったもののことを「成形品」といいます。
先ほどは成形品の例としてたい焼きを挙げましたが、他にもペットボトルやマンホールなど、多くのものが成形品にあたり、実は金型は現代になくてはならない技術なのだということが分かります。
成形品は、液状の材料を金型に流し込み、金型内で材料を固めることで作られます。
しかしそれだけでは金型に材料がくっついてしまい、せっかく作った成形品を綺麗に金型から取り出すことができません。
離型剤とは
金型から成形品を取り出すためには、剥がれやすくするための薬剤が必要になります。
たい焼き器でいうと、生地を流し込む前に型に塗る「バター」や「油」の役割を果たすものです。
この薬剤のことを「離型剤」といいます。
離型剤は成形品と金型が密着しすぎるのを防いだり、成形品を金型から取り出す際に生じる摩擦を減少させるはたらきがあります。
そのため、成形品と金型、両方の損傷を防ぐことができます。
離型剤には、バターや油のように金型に塗布して使う、外部剥離型剤の他に、材料に混ぜて使う内部剥離型剤があります。
また、他にも形態(水型、エマルション型、溶剤型、オイル型、ペースト型)や使用方法(スプレー型、焼付型)など分類方法は沢山ありますが、配合される成分で分類すると大きく下のように分けられます。
◆フッ素系離型剤
非常に薄く塗るだけで優れた離型性を発揮します。
金型への汚れが少なく、金型表面の状態が転写されてしまって成形品の表面が曇ってしまうということも少なく連続成形が可能です。
成形後に加工がある場合も、手間が少なくてすむ離型剤です。
但し、潤滑性に欠ける欠点があります。
◆シリコーン系離型剤
広く使用されている離型剤です。潤滑性がよく、離型性および作業性に優れています。
一方で、成形品への転写が多く曇りやすかったり、洗浄も手間がかかってしまい成形後に加工を必要とする場合には不向きなのが欠点です。
◆ワックス系離型剤
固体状で塗りやすいのですが、厚く塗布する必要があるため使用量が多くなってしまいます。
金型汚れが激しく転写が多い上、離型性に劣ります。半導体など一部の分野で使用されています。
◆界面活性剤系離型剤
離型性はよくないですが安価なため、離型が容易な場合に使用されることがあります。
離型剤も洗浄する必要がある!
金型や成形品の損傷防止や品質維持に欠かせない離型剤ですが、離型剤自体も金型にこびり付いてしまうため、一定の期間で洗浄して落としてあげる必要があります。
また、出来上がった成形品の表面にも離型剤が付着しているため、塗装や接着などの後加工が必要な場合はしっかりとそれを落とす必要があります。
プラモデルは離型剤が付着したまま発売されている場合があり、シールを張り付けてもすぐに剥がれてしまったり、塗った塗料が浮いてきてしまうことがあります。
※成形品は厳密には『成型品』の表記が正しいそうです。しかし、一般的には『成形品』の表記が多いため、今回は「成形品」と表記してあります。
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