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化学用語解説

2022.09.26

【有機溶剤とサステナビリティ】バイオ燃料とは

【有機溶剤とサステナビリティ】バイオ燃料とは

前回、【有機溶剤とサステナビリティ】というテーマで、「フィルムのデラミネーションについて」の記事を更新しました。
今回は、バイオマス燃料(バイオ燃料)の側面からサステナビリティ(持続可能性)を見ていきたいと思います。

 

バイオ燃料とは

バイオ燃料とは、動植物由来の資源を利用した燃料のことをいいます。一方、従来の燃料は、「化石燃料」といい、石油や石炭、天然ガスなど、長い年月をかけ、動物や植物の死骸が変化することでできる、限りある資源です。
サステナビリティを考えたときに、限りのある化石燃料を使わず、今ある植物や動物資源を用いて持続可能な社会を考えることが重要であり、注目されています。
具体的に、バイオ燃料のメカニズムや種類、有機溶剤とどのように関わりがあるか見ていきましょう。

 

バイオ燃料のメカニズム

バイオ燃料は、なんとなく環境に良いというイメージがありませんか?
実際に、環境に良いものとされていますが、その理由をご存じでしょうか。

植物を原料にしたバイオ燃料の場合

植物は空気中の二酸化炭素と水、土壌中の養分、日光を糧に成長します。成長過程に二酸化炭素を吸収し、成長に役立てているという観点から、この植物を燃料として燃やした場合に排出される二酸化炭素と、成長中に植物が吸収した二酸化炭素を相殺できるという考え方があります。

元々地中深くに埋まっていた化石燃料を燃やすのと比べ、二酸化炭素排出量を総合的に抑えられるため、環境に良いとされています。

植物を原料にした循環図

動物を原料にしたバイオ燃料の場合

動物由来の原料とは、人間が食べる肉以外の脂肪分などを指します。豚や牛の油を削ぎ落し、そのまま捨ててしまえば二酸化炭素を発生するだけですが、それを加工し燃料とすることで、化石燃料を使用するよりも二酸化炭素を削減できたとみなせます。
このように、バイオ燃料は資源が枯渇することなく循環するということから、環境に良いとされています。

 

バイオ燃料の種類

バイオ燃料と一言でいっても、いくつか種類があります。

1. バイオエタノール

「バイオマスエタノール」とも呼ばれますが、いわゆる植物由来の発酵エタノールのことです。エタノールというと、日本ではお酒のアルコール成分や消毒液、除菌液のようなものを思い浮かべがちですが、海外においてエタノールはガソリンの代わりとなる燃料として利用されています。バイオエタノール100%での利用や、ガソリンに一定量混ぜることによって化石燃料の使用を減らすことができるため、二酸化炭素排出削減に繋がります。

2. バイオディーゼル

日本では、バイオエタノールよりもこちらの方が馴染みがあるかもしれません。バイオディーゼルで走るバスを見たり聞いたりしたことはないでしょうか。バイオディーゼルとは、従来の化石由来のディーゼル燃料に替わるバイオ燃料です。一般的に廃食油を原料としており、家庭や飲食店から揚げ物用の油を集めて燃料化します。最近では、建設業界において、軽油の代替としてもバイオディーゼルが利用されています。

3. バイオナフサ

バイオナフサとは、石油由来のナフサの代わりになる動植物由来のナフサのことです。最近、化学業界ではバイオナフサが注目されています。従来、化学品を製造するために石油由来のナフサを使用していましたが、カーボンニュートラルの観点から、バイオナフサの利用を検討する大手メーカーが増えています。

4. SAF

今まで出てきたバイオ燃料の種類は、名前から何となく用途が分かりましたが、SAFとは何でしょう。SAFとは、「Sustainable Aviation Fuel」の略で、日本語では「持続可能な航空燃料」を意味します。つまり、SAFとは飛行機用の燃料です。飛行機の燃料は従来灯油をベースとしていたため、化石燃料を使用していました。バイオマス由来のSAFに置き換えることにより、空の移動にもカーボンニュートラルを適用できます。

 

バイオ燃料と有機溶剤の関係

ここまで、バイオ燃料について紹介してきましたが、何故有機溶剤メーカーである弊社がバイオ燃料について取り上げるのか疑問に感じた方もいらっしゃると思います。
そもそも、有機溶剤とは、何かを溶かす剤(くすり)のことを指します。石油由来の有機溶剤は主にナフサから生成されるため、石油ナフサがバイオナフサに切り替わっていくことは、大きく関係してくるのです。

ナフサ以外でも、ガソリンや灯油は燃料として以外にも、有機溶剤として何かを溶かすことにも使われています。例えば、ガソリンを精製した「ホワイトガソリン」を使用して脱脂洗浄することもあります。また、バイオエタノールも、バイオディーゼル、SAFも、燃料だけでなく有機溶剤として使用されるケースは多く、今後有機溶剤の分野にも「バイオマス」の置き換わりは大きな影響を与えてくるでしょう。

 

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