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身近な有機溶剤
2018.07.30
ネイルについて
目次
ネイルについてというタイトルですが、爪についてお話するわけではなく、「ネイルアート」についてのお話です。
最近では男性も爪にマニキュアを塗ったり(透明なものを塗ることが多いようですが)、女性用ネイルアートも日々進化し続けています。
ネイルアートの歴史
そもそも、爪に色を塗る行為はいつから始まったのでしょうか。
ネイルアートの発祥は、紀元前3000年の古代エジプト時代だと言われています。
当時は「ヘンナ」という薬草の花を使って爪を赤く染めていたそうです。
かの有名なクレオパトラもヘンナを使って爪を彩っていますが、この時代は女性だけでなく男性も爪を染めていたそうです。
驚くべきはこの「ヘンナ」、実は今でもヘアカラーなどに使われているのです。
爪を染める文化はエジプトから、やがて西洋に伝わります。
これがローマ・ギリシア時代のお話です。
支配者階級の間で爪を染めることが流行しはじめ、ちょうどこの頃ラテン語の「マヌス(manus=手)」と「キュア(cure=お手入れ)」から、「マヌスケア(手のお手入れ)」という言葉が生まれ、これがマニキュアの語源となったと言われています。
アジアでは、先に上がったクレオパトラと共に世界三大美女として知られる楊貴妃も、唐の時代にヘンナで爪を染めていました。
一方、日本に爪染め文化が広まったのは飛鳥・奈良時代だと言われています。その時代の上流階級の女性たちは紅殻をつかって額や口元を赤くお化粧し、その延長として爪も染めていました。
平安時代になると下層階級の人たちにも化粧が広がります。当時の爪のお手入れは、ホウセンカやホオズキで作った染料を爪に塗る「爪紅(つまくれない)」が流行りました。そのためホウセンカの別名が「爪紅」となったのです。
江戸時代に入ると、唐からベニバナを使った染料が伝わり、お化粧にも広く使われるようになりました。ベニバナで爪を染めることを「爪紅(つまべに)」、ベニバナで唇を染めることを「口紅(くちべに)」と言うようになったのはこの頃です。
現代のネイルアート
現在私たちになじみ深い「マニキュア」と呼ばれるネイルポリッシュが出来たのは、1932年のことです。
もともとは自動車塗装用の速乾性ラッカーが開発されたことがきっかけでした。
その後美容業界に転用されて「ネイルラッカー」として発売されました。
1970年代になると世界中にこのネイルラッカーを使用したネイル文化が広まり、それと同時に日本でも使用されるようになります。
ネイルの種類
日本で一般的にネイルというと、大きく分けて下の3つに分類されます。
- ポリッシュネイル
- ジェルネイル
- スカルプチュアネイル
ポリッシュネイルと言うとあまり聞き慣れませんが、一般的なマニキュアがそれです。
「ポリッシュ」自体には、「磨くこと。つやを出すこと。」という意味がありますが、それが転じて、「ネイルポリッシュ」は爪用を示すようになったようです。
100円均一ショップでも購入でき、除光液で簡単に落とせることから、自宅で簡単にできると人気のネイル塗料です。ジェルネイルは、塗った後光を当てて固めるタイプのネイルです。
内容成分の違いによって、ハードジェルとソフトジェルに分けられますが、最初に誕生したのはハードジェルの方です。
もともと、歯の詰め物だったハードジェル。歯医者さんに行ったことのある人は、青いライトを当てられたことはありませんか? 実はあれは歯の詰め物を光で固めているのです。
この、光を当てて樹脂を固める技術がネイルにも応用され、ジェルネイルとなりました。
ハードジェルの特徴は名前の通り、硬くて丈夫な点です。そのおかげで、爪に長さを出すことが出来たり、重たいストーン(キラキラした石)もつけることができます。
一方ソフトジェルは、先に生まれたハードジェルを下剋上し、世界で圧倒的な支持を得てネイル塗料の主流となっています。
ソフトジェルの発祥は南アフリカと言われており、その後イギリスを経由しヨーロッパに広まり、2002年ごろ日本に上陸しました。
特徴は、専用のリムーバーで落とせるところです。また、ハードと違って柔軟性があるため、自爪にフィットしやすいところが人気のポイントです。
スカルプチュアネイルとは、油断をすると噛みそうなネーミングですが、他のネイルとは少し異なり付け爪のことをいいます。
といっても、写真のような専用両面テープで貼るタイプの付け爪ではなく、自分の爪の形に合わせてアクリル樹脂で爪の長さを出す技術のことです。つまり、自分の爪の上にオリジナルの付け爪を一つずつ作るのです。
これはもともと、医療用として弱い爪を保護するために使われていた技術をネイルアートに応用したものです。
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ネイルポリッシュとジェルネイルの違い
成分と仕組み
マニキュアの主成分は、下記から構成されています
樹脂
ベースです。ニトロセルロースやアクリル樹脂、アルキド樹脂などが主流です。
顔料
色を出します
有機溶剤
樹脂を溶かします。これが乾くことで樹脂が固まります。
可塑剤
塗りやすい柔らかさを保ちます
一方ジェルネイルは光を当てることで成分が化学反応し固まります。
ジェルネイルの成分は下記。
樹脂
光によって固まる樹脂です。ソフトジェルは、接着剤や車の塗料にも使われているウレタン樹脂です。ハードジェルはアクリル樹脂で、いわばプラスチックです。
顔料
色を出します
可塑剤
塗りやすい柔らかさを保ちます
その他
光を吸収して化学反応を開始される物質が入っています
ジェルネイルには有機溶剤は入っていないものもありますが、薄くしたり早く固めたりするために、有機溶剤が入っている製品もあります。
持続期間
マニキュアは2,3日すると表面のツヤツヤが徐々になくなってきます。1週間もすれば、剥がれて、元の自爪に戻ってしまったり、斑になってしまったりします。
一方でジェルネイルは、塗った時の綺麗な状態が3~4週間持続します。これもジェルネイルが人気の理由の一つです。
(爪が伸び変わらなければもう少し長持ちするかもしれません)
デザイン性
マニキュアは空気に触れると乾いて乾燥してしまうため、時間のかかる凝ったデザインにはあまり向いていません。色をいくつか混ぜ合わせ、自分で色を作ることもできません。
ジェルネイルは光を当てるまでは固まらないので、自由にかいたり、ゆっくりストーンを乗せたり、デザインを楽しめます。また、複数のジェルを混ぜ合わせて好みの色を作ることもできます。
落とし方
マニキュアはアセトンなどを主成分にした「除光液」をコットンに染み込ませて拭き取るだけで簡単に落とせます。
しかしジェルネイルは通常の除光液では落とすことができません。ハードジェルは物理的に削り落とす必要があります。ソフトジェルは表面をやすりで削り、アセトンを染み込ませたコットンで浸してジェルを浮き上がらせて落とします。
削る場合、自爪まで傷つけてしまうおそれがあり注意が必要です。
注意点
爪は皮膚の表皮層から作られて角質化した皮膚の一部です。
ネイルアートは人気も高いですが、気を付けないと重大なトラブルを引き起こす可能性もあります。
ネイル用の塗料や、除光液などのリムーバーの中には、体によくない成分も含まれているものもあります。(これが原因でアレルギー反応を起こしてしまうケースもあります)
菌が入らないよう清潔にするのは勿論ですが、爪への負担を減らすことも大事です。
ジェルを落とすリムーバーややすりで削ることも爪へのダメージの1つです。無理矢理剥がしたり、削りすぎたりしないよう気を付けましょう。
とはいえ、いくら気を付けていても、ダメージを0にするのは難しいところです。
そこで、最近では有機溶剤を使っていない、水性タイプのマニキュアも開発されています。
欧米を中心に、野菜や果物の成分から作られているネイルも販売されるようになってきました。
なんとこれらのマニキュアはアルコールなどで落とすことができ、爪や肌の負担が従来品より更に少なくなっています。
健康な爪を維持しながらお洒落を楽しめるのはありがたいですね♫
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