NEWS

化学規制

2018.07.20

GHSの危険有害性分類とラベル表示について

GHSの危険有害性分類とラベル表示について

 

GHSとは

GHSの登場

有機溶剤をはじめ、化学品の多くは無色透明の液体白色の粉末です。
ベテランさんはにおいをかげばある程度分かる人もいますが、見た目で区別が付きづらいというのが、化学品業界の長年の悩み事の1つです。
そのため、容器にラベルなどの目印がないと、その物質が何なのかを調べるのに大変な手間と時間がかかってしまいます。
海外を相手に化学品を扱う場合はもっと複雑です。

言語が異なるだけでなく、同じ物質でも国ごとにラベルに表記している内容や書き方がバラバラで、それがどんな物質なのか、どのように取り扱ったらよいのか分からなければ、一歩間違えれば事故に繋がり、死に繋がることもあるでしょう。
そこで2003年、国連が中心となって化学物質の危険有害性に関する世界共通の情報提供の仕組みを作りました。
これが「GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals/ 化学品の分類および表示に関する世界調和システム)」です。

GHSの登場によって変わったこと

GHSが登場したことによって、ラベルの表示や、安全データシート(SDS)の提出、物質の有害性などを、国際的に統一した基準で表示することが義務付けられました。

化学品を売る側は、化学品を正しく分類して、SDSを提供したり、ラベルに正しく表示を行うことが義務となり、化学品を使う側は、職場で使用される化学品について、労働者に正しい情報(SDSに基づいた正確な情報)を提供することが定められました。

 

GHSの分類

合わせて読みたい!!

安全データシート(SDS)について

有機溶剤に関する危険有害性について、区分とそれに対するシンボルマーク、注意喚起語などをまとめます。
GHSのシンボルマークの意味と、SDSについては、上の記事で既に触れていますので、そちらをご参照ください。

引火性液体

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
引火性液体についてのGHSの炎のシンボルマーク 危険 1 極めて引火性の高い液体および蒸気 引火点が23℃未満で初留点が35℃以下
2 引火性の高い液体および蒸気 引火点が23℃未満で初留点が35℃を超える
警告 3 引火性液体および蒸気 引火点が23℃以上60℃以下
なし 4 可燃性液体 引火点が60℃を超え 、93℃以下

急性毒性

​経口
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
どくろのシンボルマーク 危険 1 飲みこむと生命に危険 LD50≦5mg/体重(kg)
2 5≦LD50<50mg/体重(kg)
3 飲みこむと有毒 50≦LD50<300mg/体重(kg)
急性毒性のGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 4 飲みこむと有害 300≦LD50<2000mg/体重(kg)
なし 5 飲みこむと有害のおそれ 2000≦LD50≦5000mg/体重(kg)
経皮
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
経皮についてのGHSのどくろのシンボルマーク 危険 1 皮膚に接触すると生命に危険 LD50≦50mg/体重(kg)
2 50≦LD50<200mg/体重(kg)
3 皮膚に接触すると有毒 200≦LD50<1000mg/体重(kg)
経皮についてのGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 4 皮膚に接触すると有害 1000≦LD50<2000mg/体重(kg)
なし 5 皮膚に接触すると有害のおそれ 2000≦LD50≦5000mg/体重(kg)
吸入:蒸気
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
吸入:蒸気ついてのGHSのどくろのシンボルマーク 危険 1 吸入すると生命に危険 LC50≦0.5(mg/L)
2 0.5≦LC50<2.0(mg/L)
3 吸入すると有毒 2.0≦LC50<10.0(mg/L)
吸入:蒸気ついてのGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 4 吸入すると有害 10.0≦LC50<20.0(mg/L)
なし 5 吸入すると有害のおそれ 2000≦LD50≦5000mg/体重(kg)
吸入:粉じんおよびミスト
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
吸入:粉じんおよびミストについてのGHSのどくろのシンボルマーク 危険 1 吸入すると生命に危険  LC50≦0.05(mg/L)
2 0.05≦LC50<0.5(mg/L)
3 吸入すると有毒  0.5≦LC50<1.0(mg/L)
吸入:粉じんおよびミストついてのGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 4 吸入すると有害 1.0≦LC50<5.0(mg/L)
なし 5 吸入すると有害のおそれ  2000≦LD50≦5000mg/体重(kg)

皮膚腐食性・刺激性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
皮膚腐食性・刺激性についてGHSの爆弾の爆発のシンボルマーク 危険 1A 重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷 GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.2章
1B
1C
皮膚腐食性・刺激性についてGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 2 皮膚刺激
なし 3 軽度の皮膚刺激

眼に対する重篤な損傷・眼刺激性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性についてGHSの爆弾の爆発のシンボルマーク 危険 1 重篤な眼の損傷 GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.3章
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性についてGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 2A 強い眼刺激
なし 2B 眼刺激

呼吸器感作性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
呼吸器感作性のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1 吸入するとアレルギー、喘息または呼吸困難を起こすおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.4章

皮膚感作性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
皮膚感作性のGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 1 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版  第3.4章

生殖細胞変異原性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
生殖細胞変異原性のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1A 遺伝性疾患のおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.5章
危険 1B
警告 2 遺伝疾患のおそれの疑い

発がん性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
発がん性のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1A 発がん性のおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.6章
危険 1B
警告 2 発がん性のおそれの疑い

生殖毒性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
生殖毒性のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1A 生殖能または胎児への悪影響のおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.7章
危険 1B
警告 2 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
なし   (授乳区分) 授乳中の子に害を及ぼすおそれ

特定標的臓器・全身毒性

単回ばく露
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
単回ばく露のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1 臓器の障害 GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.8章
警告 2 臓器の障害のおそれ
GHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 3(気道刺激性) 呼吸器への刺激のおそれ ヒトに対する一時的な刺激性作用の証拠がある
警告 3(麻酔作用) 眠気またはめまいのおそれ ヒトまたは動物に対する一時的な催眠作用の証拠がある
反復ばく露
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
反復ばく露のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1 長期または反復ばく露による臓器の障害 GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.9章
警告 2 長期または、反復ばく露による臓器障害のおそれ

吸引性呼吸器有害性

マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
吸引性呼吸器有害性のGHSの健康有害性のシンボルマーク 危険 1 飲み込み、気道に侵入すると生命に危険のおそれ GHS国連文書 仮訳改定6版 第3.10章
警告 2 飲み込み、気道に侵入すると有害のおそれ

水性環境有害性

急性
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
水性環境有害性の急性についてGHSの環境有害性のシンボルマーク 警告 1 水生生物に非常に強い毒性 GHS国連文書 仮訳改定6版 第4.1章
なし   2 水生生物に毒性
なし   3 水生生物に有害
慢性
マーク 注意喚起語 危険有害性区分 危険有害性情報 判定基準
水性環境有害性の慢性についてGHSの環境有害性のシンボルマーク 警告 1 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性 GHS国連文書 仮訳改定6版 第4.1章
  2 長期的影響により水生生物に毒性
なし   3 長期的影響により水生生物に有害
  4 長期的影響により水生生物に有害のおそれ

 

GHSシンボルの例外規定

シンボルは、該当する危険有害性区分に従って記載するのが原則ですが、一部例外があります。

例外の例

例外1

例外のGHSのどくろのシンボルマーク(どくろ)がある場合、例外のGHSの感嘆符のシンボルマーク(感嘆符)は除外される

例外2

例外のGHSの腐食性のシンボルマーク(腐食性)か、例外のGHSの感作性の健康有害性のシンボルマーク (感作性の健康有害性)がある場合、例外のGHSの感嘆符のシンボルマーク (眼と皮膚に関する感嘆符)は除外される

 

GHSの分類と毒劇法の分類

単体の化学物質のGHS分類と、毒物及び劇物取締法(毒劇法)を照らし合わせると、おおよそ下記のようになっています。(必ずしも一致するわけではありません)

急性毒性

GHS情報
毒劇法情報
マーク 注意喚起語 危険有害性区分
急性毒性についてGHSのどくろのシンボルマーク 危険 1 医薬用外毒物
2
3 医薬用外劇物
急性毒性についてGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 4 毒劇法規制対象外
なし 5

皮膚腐食性・刺激性

GHS情報
毒劇法情報
マーク 注意喚起語 危険有害性区分
皮膚腐食性・刺激性についてGHSの腐食性のシンボルマーク 危険 1A 医薬用外劇物
1B
1C
皮膚腐食性・刺激性についてGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 2 毒劇法規制対象外
なし 3

眼の重篤な損傷性・刺激性

GHS情報 毒劇法情報
マーク 注意喚起語 危険有害性区分
眼の重篤な損傷性・刺激性についてGHSの腐食性のシンボルマーク 危険 1 医薬用外劇物
眼の重篤な損傷性・刺激性についてGHSの感嘆符のシンボルマーク 警告 2A 毒劇法規制対象外
なし 2B

 

GHSに沿ったラベルの例

GHSに沿ったラベルの例 アセトニトリルラベル

作成時は、GHS国連文書を参考にすることをお薦め致します。

 

関連記事

安全データシート(SDS)について ▶

 

CONTACT US

製品に関する
お問い合わせ

TEL 052-931-3122

その他お問い合わせ・
受発注状況の確認

TEL 052-931-3111

受付時間:平日8:30〜17:30