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化学規制
2024.11.20
防爆構造について① ~防爆構造が必要な理由と設置義務のある場所について~
目次
防爆構造とは?
防爆構造とは、文字通り、「爆発を防ぐ」構造のことです。爆発を防ぐためには、まず、爆発が起こる仕組みについて知る必要があります。
爆発の仕組み
可燃性物質による爆発の仕組み
可燃性物質とは、火をつけると燃えるもののことです。可燃物が急速に燃えると、発生した熱によって空気など周囲の気体の体積が急激に膨張し、圧力が上昇します。その上昇した圧力が一気に開放されることで爆発が起こります。
身近なものでは、以下のようなものが挙げられます。
- ガス
- スプレー
- 小麦粉やでんぷん
- 砂糖
上に挙げたものはもちろんごく一部ですが、どうして小麦粉や砂糖でも爆発が起こるのでしょう。
たとえば、狭い空間で細かな粒となって漂っている小麦粉に火が付くと、周囲の小麦粉の粒にも一気に燃え広がり、空気を急激に膨張させ、爆発となります。この現象は粉じん爆発と呼ばれています。
防爆の必要性
可燃性ガスや可燃性液体の蒸気などが空気と混ざり合っている環境下で、電気機器を使うと、電気機器から生じる電気火花で引火し、爆発する可能性があります。そのため、日本では労働安全衛生法により、爆発の可能性のある危険な場所では、可燃性ガスや可燃性の蒸気と着火源を共存させない工夫(=防爆構造)の施された電子機器の使用を義務付けています。
防爆構造はどんなところで必要?(可燃性ガス・可燃性液体の場合)
ガスやスプレーなどの可燃性ガスがあるからといって、一般家庭で電気機器を防爆構造にする必要はありません。
防爆構造の電子機器を設置する義務があるのは、下記の条件にあてはまる工場や事業所などです。
①引火点が40℃未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合
②引火点が40℃以上の危険物であっても、引火点以上の状態で貯蔵・取扱う場合
また、上記の条件にあてはまる工場・事業所の内部は、更に危険性の度合いによって3段階に分けられています。
特別危険箇所
爆発する可能性が常に存在する場所、長時間存在する場所です。
具体的には、危険な物質が入った容器、またはタンクなどの内部、及び開放容器の液面付近などがこれに該当します。
第一類危険箇所
爆発のおそれがある場所はこの分類にあてはまります。
具体的には、ガスなどが集積して、爆発の可能性がある場所(修繕・保守や漏えいなどの際を含む)のことです。
第二類危険箇所
機器の故障などによって爆発する可能性がある場所です。
具体的には、以下の3ケースです。
①危険な物質が収まっている容器や設備が破損したり、誤操作によりそれらが漏れ出て爆発するおそれのある場所
②通常は換気装置によってガスが溜まらないようになっているが、換気装置が故障した場合、ガスが集積し、爆発するおそれのある場所
③1種場所の周辺、または隣接する室内でガスが侵入し、爆発するおそれのある場所
引火点のあるものを扱う場合、まずその引火点が何度で、扱う際の温度は何度なのか把握し、防爆構造が必要なのか否かをしっかり確認してください。また、防爆構造が必要な場合、どの場所がどの危険レベルに該当するのかを把握し、適切な防爆設備を選択してください。
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防爆構造に関する質問
※2024年11月20日更新
以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)
質問No.01~10
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
先日弊社に消防が入りまして、洗浄で使用しているシンナーが第一石油類ということで設備を防爆化するように指導を受けました。
防爆化の見積を取ったところ、莫大な費用が掛かることが分かったので、避けたいのですが、防爆設備を導入しなくてよいような洗浄剤の基準はあるのでしょうか?
引火点がない、あるいは引火点が40℃以上のもので引火点以下で使用する場合防爆の設備は必要ありません。
弊社製品で言うならば、ファインゾルWシリーズ(引火点がありません)か、第三石油類のシンナーがおすすめです。
LPG充填所は2種危険場所でしょうか?照明器具(LED)交換の為、既設配管をやり直す計画ですが、配管にフィッチングを施工した場所と全くフィッチング無で施工した場所があります。
また、ケーブルで工事した場合はどうですか?最善の工法を教えて下さい。
ガスや電気は弊社では専門ではありませんので、業者様にお問い合わせください。申し訳ありません。
今取り扱っている製品の引火点が 40℃以下なのですが、溶剤を変更して引火点63℃に引き上げようと思っています。取り扱い場所も暑くても34℃位の場所で取り扱うならば防爆の義務は無くなるでしょうか?
気温が基準ではなく、液温が基準になっております。使用されるときの液温が、引火点である63℃未満の場合ならば防爆仕様の義務はありません。
国家試験の問題で電気設備の勉強をしています。問題は「誤操作をしない限り可燃性ガスが放出する恐れのない場所は、非防爆構造の電気機器を設置できる」です。答えは設置できないです。非防爆構造の設置場所は第2類危険個所かと思ってましたが、違いました。では非危険個所かと思いましたが調べても答えが出てきません。非防爆構造の設置場所はどこになりますか?
一般的な防爆設備に関してはお答えができるのですが、詳細は一溶剤メーカーの弊社ではわかりかねます。申し訳ありません。
防爆設備を取り扱う設備業者様、あるいは経済産業省の該当部署様にお尋ねになればお答えいただけるかと思います。
社内の試験室で4類と5類(粉末)の危険物を扱います。使用量は極わずかなので、試験室内で容器に入れ保管しております。
①保管は所謂「赤箱」のような、貯蔵ロッカー等に入れる必要はありますか?
②保管量としては0.2未満となり、自治体の条例の適用は受けないという認識でよろしいですか?電気設備は防爆にする必要がありますか?
①ロッカーに入れる義務はありませんが、危険物であること、危険物の場所を全体に共有する目的でロッカーを使用するのは有効かと思います。
②0.2未満であれば、自治体の条例適用は受けません。使用している危険物の引火点にもよりますが、危険物のガスがたまって引火するおそれがあれば、防爆設備である必要があります。
慣れない環境で大変なことや不安ごともあるかと思いますが、ご活躍をお祈りしています。
社内の屋内貯蔵庫にて、4類の危険物を保管しております。その貯蔵庫内にに仕切りを設けたいと考えているのですが、その仕切りは防爆仕様にしなくてはいけないのでしょうか?(仕切りは耐火カーテンで検討しています)
その仕切りは電気などを使って動かしたりできるものでしょうか?防爆仕様が必要なのは、スイッチやモーターなどで稼働する電気設備です。
また、危険物保管庫を改造する際は、消防署の許可が必要になりますので、管轄の消防署様へご相談ください。
建築内装業をしていますが以下の場合、どのような仕様にすればよいのでしょうか。
お客様より、現在使用の冷凍庫(サンヨー製:室内設置)に分類:危険物第四類アルコール類、数量: 200L 程度(指定数量の 0.2 倍以上 1 倍未満)を置きたいとの希望です。
少量危険物でございますので、管轄の消防署様と設備屋さんにお問い合わせください。
航空機に燃料(JET A-1)を給油する者ですが、給油に使用する車両に新たな電気設備の設置を考えています。車両には空気の流れを遮る外板を設置していない状態です。
電気設備を防爆構造にする必要はありますか。
メーカー独自の製品のため、製品のメーカー様へお問い合わせいただくのが確実です。
フレキシブルチューブについて、質問です。
この度ゾーン1の危険物倉庫で照明等の機器を取り付けるのですが金属管配管で防爆型付属品を用いて防爆型照明器具にフレキシブルチューブで接続しようと思います。その際照明器具とフレキシブルチューブの間にシーリングフィッチングを設けようと思うのですがその際フレキシブルチューブは安増型でも良いのでしょうか。
また、安増型のフレキシブルチューブを使用する場合その両端でシーリングフィッチングを用いれば使用は可能なのでしょうか。
正しい廃棄方法はメーカー様にお問い合わせください。弊社ではその製品のことが分からないため、お答えすることができません。
この中の防爆構造はどんなところで必要?にある・引火点が40℃未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合・引火点が40℃以上の危険物であっても、引火点以上の状態で貯蔵・取扱う場合という説明は他のサイト説明でも出てくるのですが、この文言の根拠ってどこにあるかわかりませんか?
経済産業省が出している「電気設備の技術基準の解釈の解説」の第176条・177条からの文書となります。
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