お知らせ・お役立ち便覧 NEWS
有機溶剤
2024.11.19
NMPについて
NMPとは
N-メチル-2-ピロリドンは、1-メチル-2-ピロリドン、1-メチルピロリジン-2-オンやN-メチル-2-ピロリジノンなどとも呼ばれ、NMPの略称でよく知られています。
無色またはわずかに黄色みがかった液体で、アミン臭という魚を触って時間がたった時のような、生臭いニオイのする有機溶剤です。
NMPの特徴
NMPはγラクタムという窒素を含む五員環の構造を持っています。
そのため低級アルコール、エーテル、低級ケトン、芳香族炭化水素、クロロホルムのような塩素化炭化水素や、酢酸エチルなど多くの有機溶剤とよく混ざり合い、水とは任意の割合で混ざり合います。
また有機物だけでなく、無機物に対する溶解性が大きいのも特徴です。
さらにNMPは、下記のような特性があります。
- 近い構造を持った他の有機溶剤に比べて引火点が高く事故の心配が少ない
- 沸点が高く凝固点が低いため常温で気化や凝固しにくい
- 中性下では化学的に安定した物質で分解し難い上、腐食性がない
これらの特性から取り扱いが容易であるため、工業の様々な分野において製剤され、溶媒や洗浄剤・剥離剤などとして活躍しています。
NMPの用途
具体的な用途としては、顔料や染料の分散剤、農薬、殺中剤、除草剤、殺菌剤などの溶剤として使われます。
また高分子化学の分野を中心にポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂といった樹脂の良溶剤、合成樹脂を繊維状にする際の溶剤、プラスチックの表面処理の溶媒などとしても使われる他、各種ワニス、ペイント、ラッカー塗装、フラックス、電子部品洗浄の洗浄剤としても使われています。
貯蔵・取扱いについて
NMPは消防法危険物第4類第3石油類水溶性液体、危険等級Ⅲに該当します。
危険物なので指定数量の順守や適切な管理が必要となります。また、NMPは吸湿性があるので管理上注意が必要です。
取り扱いについては、NMPは脱脂性が有りますので、皮膚に触れた場合は手荒れの原因となりますので、直ちに水で洗い流して下さい。
毒性について
NMPは、有機溶剤中毒予防規則、特別化学物質障害予防規則、毒物劇物取締法に非該当です。
毒性は低いとされていますが、低いだけで完全に無害なわけではありません。
体内に一定量取り込まれると中枢神経系、骨髄、肝臓、精巣、腎臓、副腎などに悪影響を及ぼす可能性があるので取扱いにはご注意ください。
また、農薬などの劇薬を溶解したNMP溶液は、皮膚からの浸透性が強いため特に気を付けるようにしましょう。
関連製品
NMPに関する質問
※2024年11月19日更新
以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)
質問No.01~10
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
NMPがREACH規制にかかったり、剥離剤としてNMPが避けられる傾向にあるようですが、なぜでしょうか?
有機則等に掛かっていなくても、危険性が高いということですか?
NMPは生殖毒性のGHS区分が1Bと高く、EU法の化学物質管理であるREACH規制のSVHC(高懸念物質)に該当します。
日本国内での規制ではないのですが、EUに出荷される可能性のある製品を中心にSVHCに該当する物質を回避する動きが出ています。弊社といたしましても各種NMP代替洗浄剤・剥離剤を開発製造しておりますので、もしご希望ございましたらご案内可能です。お申し付けくださいませ。
環境対応型NMP代替剥離剤 ゾルカスシリーズ
代替え品でNMPに相当する強力な溶解(剥離)剤は有りませんか?
籐(ラタン )工芸の籐の表面のエナメル質を剥離する溶剤を探しています。目的は籐のエナメル質を除去して染料で染めたいのです。
私は以前仕事でNMPを使用してポリイミド樹脂を溶解しておりました。(ほとんどの樹脂を溶解させる)しかしNMPは取扱や法規制が有り個人で使用は出来ないと思っております。
溶解した後、溶解剤を捨て、再度溶解剤で洗浄してエナメル質を除去したいのです。
最後は一般的な溶剤で洗浄が必要かも知れません。当面は試験ですので数100mLを購入したいのです。
溶解出来るかは当方のリスクと考えております。溶解剤の品名と購入先(モノタロー、Amazon、商社等)をお教え頂けませんか。
合わせて取扱注意もお教え下さい。
NMPは特に法規制などで個人が使うことのできない溶剤ではありませんので、ご安心ください。
弊社からは一斗缶しかありませんが、他社様が販売なさっている試薬などをお探しになれば入手が可能かと思います。
籐のエナメル質をNMPで溶解出来たとして数回NMPで溶解(洗浄)するのは高価であるため、洗浄を有機溶剤で行いたいと考えております。
NMPと融和性の良い安価な溶剤をご教授下さい。
NMPの説明の冒頭にアルコール、エタノールがありましたが新型コロナの消毒で品薄となっておりますので、これら以外で安価で調達し易い溶剤をご教授下さい。
エナメルだと、エナメルを落とせる溶解剤!というのはなかなかなく、エナメル塗料ごとに相性が違い、落ちる落ちないが発生しやすいため、試験をしながらお手元のエナメルに合う洗浄剤を探す必要があるのが現状です。
NMPの搬送配管の相談を受けています。SUS管での溶接での延長の予定です。
適合するSUS管の種類(304や316等)や要所に設けるバルブ類のシール、フランジのパッキンの材質について最適なものは何でしょうか。
又、部分的に使用するネジ接合の場合の配管ネジ部のシール材についても教えてください。
サイズは25A程度です。
一般的なSUSであれば問題ありません。パッキンはテフロンをお勧めいたします。
シール材に関しては弊社に実例がございませんで、お答えできません。申し訳ありません。
蒸発熱を教えて下さい。
NMPの蒸発熱は105kcal/kgです。
NMPをペール缶に入れて生産運用をすることになりました。
ペール缶にビニールの内袋を使用したいのですが、ポリエチレン(PE)での耐性はいかがでしょうか?また推奨されるビニール袋の材質をご教授下さい。
ポリエチレンかポリプロピレン以外のビニール袋でございますと溶かしてしまいますので、その2種類のいずれかがよろしいかと思います。
NMPを使用する場合の、・推奨の手袋、・推奨のマスクをお教えください。
(貴社の現場で使用しているものでも良いです。型式まで教えて頂けると大変助かります)
NMPをご使用の際は、シリコン製の耐特殊溶剤手袋をご使用ください。
マスクは有機ガス用の吸入缶を使用したマスクを使用しております。
PETはNMPに対して耐性はありますでしょうか?
耐性があると思いますが、念のためご使用前にテストしてからご使用ください。
PC(ポリカーボネート)はNMPに対して耐性はありますでしょうか。
耐性はございません。
NMPはPC(ポリカーボネート)を溶かしてしまいますのでご注意ください。
SUS316L・PEEK はいずれの方がNMPに対して耐性があるでしょうか。
SUS316LはNMPに耐性がありますが、PEEKは耐性がありません。
質問No.11~20
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
NMPに耐える防水材料を探しています。FRP(ビニルエステル系)や塩ビシートはNMPに耐えるでしょうか。
FRPや塩ビシートはNMPに耐性がありません。
●テフロン
●ポリエチレン
などは耐性があります。
NMPを扱う際、工場等での床の仕様について御社での推奨環境有ればご教示ください。
コンクリート打ちっぱなしか、鉄板などの無機物がよろしいかと思います。
(たいていの樹脂は溶けたり膨潤したりしてしまうため)
悩みどころですが、表面処理をしないとしみ込んだ場合のコンクリートは化学変化で劣化でしょうか。
・コンクリートの場合の表面処理を行う際は、耐NMP性の製品を使う(無い?)
・鉄板についても錆止めの必要性があり、その他SUS板等最適材
NMPのみであれば、コンクリートに何か化学変化を与えることはありませんのでご安心ください。
また、鉄板については、錆止めがNMPによって落ちる可能性があり、仰る通りSUS板が最適かと思います。
NMPを含む薬液をポリプロピレン(PP)の容器に保管することは問題ないでしょうか?
保管期間は2週間程度です。温度帯は-20℃~常温となります。
その程度の短時間であれば問題ありません。
25%程度のメチルピロリドンを長期(3年以上)で保管する場合、最適な材質、向いていない材質はありますでしょうか?(PET、PP、PETG、PEなど)
PVCであればいいのはわかっているのですが、PVC以外で考えております。
25%以外の部分が何か分からないので何とも言えませんが、PVCは溶剤に弱い樹脂なので注意が必要です。
メチルピロリドン単体であれば、PPやPEは保存できるとは思いますが長期では変形のおそれがあります。
金属製あるいはガラス製がおすすめです。
PEには、HDPEとLDPEがあることに気づいたのですが、どちらも変わらないでしょうか?
HDPEは高密度ポリエチレンで、LDPEは低密度ポリエチレンのことです。
HDPEがよく使われているのは、ビールケースなどの固い樹脂で、LDPEがよく使われるのは、ポリエチレン袋などの柔らかい樹脂となりますので、容器としては、HDPEのものが主になるかと思います。
NMP代替として、検討をしているのですが、変更する上での注意点はありますでしょうか?
ジプロピレングリコールジメチルエーテルが紹介されているページ(https://www.clariant.com/ja-JP/Business-Units/Industrial-and-Consumer-Specialties/Special-Solvents)を見ました。
このページのような物質特性が詳しくわからないのですが、NMPよりも安全性が高い溶剤と考えてよいのでしょうか?
使用方法によって注意点は異なりますし、加えて、どのようなポイントで安全性が高とするかによっても異なるため、一概に申し上げることができません。
ご購入されるメーカー様とご相談の上、検討していただければと思います。
鉄の表面処理に無電解ニッケルメッキまたはニッケルを溶射してコーティングした部品にNMPが接触した場合、ごく微量にニッケルが溶出する事は考えられるでしょうか。
またSUS301などニッケルを含んだステンレスと接触した場合も同様にニッケル成分がごく微量溶出してしまう事は考えられるでしょうか。
ニッケルについてはNMPと接触することで流出することは現在確認されておりませんが、「ごく微量」の単位がどの程度か分からないため、個別検査をされることをお勧め致します。
PPE(ポリフェニレンエーテル)とPES (ポリエーテルサルフォン)はNMPに対して耐性はありますでしょうか。
溶かしてワニスにする使用法を検討しております。
PPSであれば耐性があるという結果がございましたが、PPEとPESに関しては知見がございませんでした。申し訳ありません。
NMPを取り扱う工場のお客様からシールド面付ヘルメットの選定依頼を受けております。
NMPに耐性のあるシールド材質、またヘルメットの材質は何があげられるのでしょうか?
NMPに耐性のある透明な樹脂というのはなかなか難しいかもしれません。
防護具メーカー様にお問い合わせ頂いた方が早いかもしれません。
カテゴリーから探す
キーワードから探す