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洗剤・溶解・剥離
2024.11.20
プラスチックの仕組みと洗浄剤③ ~ウレタン樹脂について~
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ウレタン樹脂の仕組み
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合をもつ重合体の総称です。
別名では「ポリウレタン」とも呼ばれます。
硬化剤のイソシアネート基を持つ化合物と、主剤の水酸基を持つ化合物が縮合すると生成し、この反応が連続することで網目状の架橋構造を形成し、硬化物となります。
主剤には水酸基を持つ化合物があると書きましたが、硬化剤のポリイソシアネートは水との反応性が非常に高いので、使用する際には水が混ざらないよう、注意が必要です。
ウレタン樹脂には1液型のタイプと2液型のタイプがあり、
1液型はあらかじめ主剤と硬化剤が混ざっています。同じ1液型でも硬化方法がいくつかあります。
- 加熱して固めるタイプ
- 空気中の水分と反応して固まるタイプ
- 溶剤が揮発して固まるタイプ
2液型のものは、主剤と硬化剤を撹拌することで、常温のまま硬化します。
ウレタン樹脂の特徴
ウレタン樹脂は、日常生活のいたるところに使用されており、現代の産業には欠かすことのできない素材になっています。
例えば、以下のような分野で活躍中です。
- 自動車、船舶、航空機などのコーティング剤として
- 緩衝材、断熱材、スポンジなどの発泡材として
- スキーウェアなどの繊維、バンパーや合成皮革などの形成材料として
- ゴム材として
- 高機能接着剤として
長所
- 低弾性から高弾性まで幅広い弾性に対応できる
- 耐久性に優れ、抗張力や耐摩耗性、耐油性、耐水性、耐薬品性に優れている
- 他の樹脂に比べて、耐候性がある
短所
- 耐熱性は他の合成ゴムに比べて低い
- 他の樹脂よりは耐候性があるものの、水分による加水分解や、空気中の窒素化合物、塩分、紫外線、熱、微生物などにより徐々に分解される
- ウレタン発泡材やウレタンゴム材は紫外線によって黄色く変色する
ウレタン樹脂の除去について
ウレタン樹脂は一度硬化し、架橋構造を形成してしまうと除去するのに非常に手間がかかります。
削ったり剥離剤を使うのが一般的ですが、何に付着したウレタン樹脂を落とすのかによっても除去方法を選んだ方ほうがよいでしょう。
(樹脂などについたウレタン樹脂を剥離剤で落とそうとすると、下地の樹脂まで落としてしまい兼ねない)
様々なメーカーがウレタン樹脂対応の洗浄剤・剥離剤を販売しているので、是非試してみてください。
関連製品
以下のウレタン樹脂剥離・洗浄剤を三協化学では取り扱っております。
ウレタン樹脂に関する質問
※2024年11月20日更新
以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)
質問No.01~10
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
ウレタン樹脂が通った配管とノズルを洗浄したいのですが、貴社の製品ではどれがよいでしょうか。
4種類あるようですが、違いはありますか?
固まっていないウレタン樹脂を落とされたいときはレジーナシリーズの洗浄力がご好評いただいております。法人様向けにはサンプルなどもお出しできますので、お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。
ウレタン樹脂はアセトンで侵されるのでしょうか?また侵すとしたらどれぐらいの程度でしょうか?(表面が侵される、ドロドロに溶ける)
ウレタン樹脂が硬化していれば、アセトンで侵すことは難しいでしょう。硬化前でしたら溶けます。
ポリウレタン樹脂のどこでも下地と呼ばれる接着剤を洗面所に流してしまい、固まってしまい汚してしまいました。今からだと、どのような洗浄剤がおすすめでしょうか?
なお、洗面所はLIXILのもので、ポリエステルだと思われます。ドライヤーで熱を与えてみるほうが良いのでしょうか。
残念ながら、硬化してしまったポリウレタン樹脂は溶かすことができません。
溶剤を使って膨潤させる場合は、下地が侵されてしまいますので、削り取ったほうがよろしいかと思います。
バイクの塗装面を水拭き後に洗浄剤を使ってクリーニングしたく思っていますがIPAや炭化水素系溶剤などは塗装面に対して攻撃性がありますでしょうか?
塗装面は2液性ウレタンクリアで完全硬化しています。
普通に洗浄されるだけでしたらIPAで構いませんが、ワックスを落とすのであれば炭化水素の方がよろしいかと思います。
完全硬化していらっしゃれば、どちらも攻撃性はほとんどありません。
エアブラシの穴にウレタン塗料が詰まって硬化してしまいました。パーツとしては金属製でガスバーナーで炙って焼き切るなんてことも考えたのですが、なんとか溶かしだせる強力な溶剤をご存じないでしょうか。(塗装剥離剤?)
ウレタン塗料は溶剤に強い塗料で簡単に落とすことはできません。剥離剤をもってしても、柔らかくすることしかできませんので、ご期待にそえるかは分かりません。
販促になってしまい恐縮ですが、弊社でもウレタン向けに、「ゾルカス」という剥離剤を製造しておりますので、もしご興味をお持ちいただけるようでしたら、是非お問い合わせください。
ウレタン樹脂について、質問があります。
1、この記事で紹介されているウレタン樹脂は、衝撃吸収材などで使われるウレタン樹脂で良かったでしょうか?
2、ウレタン樹脂で出来た衝撃吸収材で「ABS樹脂で出来たおもちゃ」を保管しようとすると、同じ「樹脂」同士によるおもちゃの劣化というのは発生するのでしょうか?
ウレタン樹脂というのは、衝撃吸収材としても使われていますし、塗料としても使われていますし、接着剤や形成材料としても使われています。
この記事で書かせていただいた「ウレタン樹脂」はすべてをひっくるめての「ウレタン樹脂」です。また、ウレタン樹脂でできた衝撃吸収材で保管したからといって、おもちゃの劣化が早まるというようなことはありません。
ただウレタン樹脂は空気中の水分などで加水分解を起こしますので、おもちゃに対して劣化したウレタンの粉が付着するおそれはあります。
クルマの革シートには表面にウレタン塗料がコーティングされていて、防水性を高めています。
この塗料を剥がしたいのですが、貴社のウレタン塗料剥離剤は使えますか?下の革は傷んでも構いません。
シンナー系のラッカーうすめ液では全く溶けず、高濃度アルコールで擦ると徐々に被膜塗料が溶けて色が落ちて来ますが、非常に労力を要します。
もう少し楽に取りたいのですが、いかがでしょうか?
弊社のウレタン剥離剤(ゾルカスシリーズ)の剥離実績は「金属などの固いものにコーティングされたウレタン樹脂」が主で、これはコーティングされたウレタン樹脂を膨潤させて、元の金属から浮き上がらせ、剥がせるようにする仕組みです。
皮の場合、樹脂を膨潤させても、皮部分も樹脂に合わせて変形してしまうおそれがあり、そうなると樹脂が浮き上がらないのではないかと考えます。
実際に試験したことがないので「絶対に無理」とは言い切れないのですが、あまりお勧めできません。
ウレタン接着剤の実験等をしておりますが、事後の洗浄工程についての質問です。
ウレタン接着剤を使用した容器・工具は水で洗浄するのはNGで、塗料用シンナーで洗浄すること、と周囲に言われました。
水ではいけない理由は何でしょうか?
ウレタン樹脂の硬化剤となるイソシアネートが、ウレタン樹脂よりも水やアルコールと反応しやすく、そこで反応してしまうとウレタン樹脂が固まらなくなってしまうため、
洗浄時シンナーで洗浄し、水やアルコールが容器や工具に残らないようにする必要があります。
ウレタン樹脂はイソシアネートが硬化剤との事ですが、イソシアネートは毒性がありますよね。床に塗ったワックスにウレタンポリマーが含まれており、イソシアネートが発生しているのではないかと不安です。
また、ワックスが乾いた後もにおいがありますが、毒性はあるのか不安です。
ウレタンワックスについては、ウレタン樹脂がイソシアネートと反応した後の樹脂になりますので、中にイソシアネートはほぼ含まれていないかと思います。
また、ワックスがイソシアネートと反応してしまえばそこにイソシアネートの成分が含まれないことは化学的にわかるのですが、ワックス自体の成分が分かりませんと、毒性の有無に関してはお答えすることができません。申し訳ありません。メーカー様へお問い合わせなさるのが最も最短で確実かと思います。
完璧ネジロック 石膏ボード専用、というアンカーを固定する製品で、化学反応型(湿気硬化)、成分 ポリウレタン樹脂(MD1%以上) という液剤が付属していまして、こちらを使用して家の壁にアンカーを打ちました。
この度引越しの為にこちらを外すことになったのですが、どのようにしたら外れるでしょうか?
調べてみると、ヒートガンで熱を加えると固定しているアンカーが緩むのではないか、というところまでやっと分かりました。
ポリウレタン樹脂の緩む温度などはどのくらいなのか、調べてもよくわからず、貴方様のサイトに辿り着きました。
また、プラスチックのアンカーボルトが壁に刺さっている状態ですが、この状態からこのポリウレタン樹脂を軟化させるような溶剤などはあるでしょうか?
ポリウレタンを柔らかくする溶剤がないわけではないのですが、今回の場合、露出している表面積がかなり小さいので、ほぼ染み込まず、使用された状態での軟化は難しいかと思います。
質問No.11~
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
スリーボンド/スリーボンド パンドー156A 150g ウレタン系接着を服にこぼしてしまいました。この様な場合どのように取ることができますか?一度洗濯してしまいました。
接着剤の成分が分からないと何とも言えませんが、無理に落とそうとすると、お洋服を傷める恐れがございます。
メーカー様にお問い合わせなさることをお勧め致します。
床下に断熱材として2液性のウレタンを塗布する予定ですが、硬化時に身体に悪いガスは発生しますか?
一応、200φのダクトで外気を導入しますが、特に気をつける成分は発生しますか?
ご使用のウレタンによっても異なりますので、ご使用になるウレタンのメーカー様へお問い合わせください。
発砲ウレタンが壁紙についた場合、固まりや汚れは削り取るしかないのでしょうか?
リフォーム時に使っていない配管から部屋に冷気が入ってくるため、点検口を開けて発砲ウレタンで穴を埋める作業をして貰ったのですが、作業員の方が部屋を出てしまった後に泡が逆流して溢れ出し、壁紙を伝って床までウレタンが流れていました。慌てて呼び戻し、泡を拭き取って貰いましたが、完全には取れていない状態のまま帰ってしまいました。
私もその時発砲ウレタンがどの様な特徴を持っているのか何も知らず、問題ないものと思っていましたが、リフォームから数年後、今も固まった状態で壁紙が汚れています。経年と共に変色しているのでかなり気になり、同じ業者が別件で来た時に気になるので取って貰えますか?とお願いすると、削り取るしか方法はないと言われました。
やはりこの場合は壁紙を張り替えるしかないのでしょうか?
固まってしまった発泡ウレタンは溶剤で落とすことができないため、業者様のおっしゃる通り、削り取る他ありません。申し訳ありません。
ウレタンと水を混合すると硬化していきますが、水と混合させたうえで硬化時間を延ばすことは可能でしょうか?
冷やすと反応が遅くなるという事で水は冷蔵した物を使っていますが、1分もしないうちに流れ落ちないほどに粘度があがってしまいます。
本来ウレタンは水と混ざっても硬化しないので、水と思われているのは「硬化剤」ではないでしょうか。
ウレタンは硬化する際発熱するため、最初に冷やしておくと立ち上がりは遅くなりますが、結局発熱するため、遅くなるのは最初だけです。
熱を取りながら反応させるという方法もありますが、中心の熱がとりきれなかったりすると、硬化にムラが出来てしまうので現実的ではありません。
硬化剤に何かを混ぜたりすると、気泡の原因になったり、硬化後の仕上がりに影響がでるおそれがありますので、こちらもおすすめできません。
メーカーによっては反応スピードが若干異なる場合はありますので、機会があれば別のメーカーの2液硬化型ウレタン樹脂を使用するのはいかがでしょうか。
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