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【特設】アスベスト・塗材関連

2017.09.04

アスベストに関する規制の移り変わり

アスベストに関する規制の移り変わり

 

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アスベストについての今の法律・規制

戦前から、アスベスト(石綿)は耐熱性・絶縁性に優れていて、かつ金額も安かったので、多くの断熱材として使用されてきました。
ですが、アスベストの繊維が体内に入り込むことによって、肺がん悪性中皮腫を発症させることがわかり、昨今のアスベスト飛散による健康被害は増大の一途をたどっています。
数十年後もこの被害は増加していくかもしれないという予測もあり、大きな社会問題に発展しています。

アスベスト イメージ写真

アスベストの飛散防止対策に関する法律としては、
「建築基準法」
「大気汚染防止法」
「労働安全衛生法」
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
などがあります。

関係する事業者は、これらの法令に基づいた対応をしなくてはなりません。
どのような法令か、具体的に見ていきましょう。
(※「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」解説表1.2より抜粋)

 

建築基準法関連

規制対象材

【石綿】
  • 吹き付け石綿
  • 0.1wt%を超えて石綿を含んでいるロックウール

主な規制内容

  1. 規制対象材料の使用禁止
  2. 既存建築物の増改築時には原則として規制対象材料の除去を義務付け増改築前の床面積を1/2を超えない場合は増改築部分以外の部分について、封じこめや囲い込みの措置を許容

 

労働安全衛生法関連

規制対象材

【石綿など】
  • 石綿
  • 0.1wt%を超えて石綿を含有する製剤その他の物

主な規制内容

    1. 規制対象材の製造、輸入、譲渡、提供、使用の禁止
    2. 規制対象材を取り扱う作業または試験研究のため製造する作業においては、石綿作業主任者の専任
    3. 建築基準法の耐火建築物・準耐火建築物に吹き付けられている石綿等の除去作業は作業開始14日前までに計画届出を労基署長へ提出
    4. 事業者による石綿等の使用の事前調査・結果の記録
    5. 石綿除去や封じ込め作業に労働者を従事させるときの措置(同等以上の効果を有する措置を講じたときは適用しない)【措置:作業場所の隔離、集じん・排気装置による排気、作業出入口に前室・洗身室・更衣室の設置、作業場所及び前室を負圧に保持等】

 

大気汚染防止法関連

規制対象材

【特定建築材料】
  • 吹き付け石綿
  • 石綿を含有する断熱材、保温材、耐火被覆材

主な規制内容

  1. 政令で定める「特定粉じん」は石綿
  2. 「特定粉じん排出作業」とは特定建築材料が使用されている建築物等を解体・改造・補修する作業
  3. 元請業者に事前調査、並びにその結果の発注者への説明および掲示を義務付け

 

廃棄物処理法関連

規制対象材

  • 特別管理産業廃棄物(廃石綿等)
  • 石綿含有産業廃棄物(廃石綿等以外)
  • 石綿含有一般廃棄物

主な規制内容

  1. 廃石綿等は、特別管理産業廃棄物の中の特定有害産業廃棄物に該当
  2. 石綿含有産業廃棄物は、廃石綿等以外の産業廃棄物で石綿を0.1%を超えて含有する物
  3. 石綿含有一般廃棄物は、工作物の新築・改築・除去に伴って生じた石綿を0.1%を超えて含有する一般廃棄物
  4. 石綿含有産業廃棄物及び石綿含有一般廃棄物の収集・運搬・管理にあたっては、他の物と混合しない措置等

 

現体制になるまでの推移

石綿の関連法規性は、諸外国からの情報や実際に日本で受けた被害から取締を強化してきました。
現在の法体制になるまでの流れを説明します。

1970年代WHO(世界保健機関)やILO(国際労働機関)が発がん性を指摘

年代

内容

1960年

 

 

「肺じん法」制定

⇒石綿工場など、粉じんが発生する職場の労働者の健康障害予防のため制定
・じん肺検診についての規定

1970年代

 

WHO(世界保健機関)やILO(国際労働機関)が発がん性を指摘

 

1972年

 

 

「労働安全衛生法」制定

「特化則」再制定(安衛法に基づく一規則に)
⇒これ以降、 石綿のがん原性に着目した対策がとられるようになる

 

1975年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「労働安全衛生法施行令」の改正

・名称など表示(石綿5%超対象)

「特化則」大改正

⇒石綿はがん原性物質として特別管理物質に位置付けられ、石綿作業従事者の健康管理が大きく転換
・石綿5%超対象
・石綿等の吹き付け作業禁止
・特殊健康診断の実施
・特定化学物質等作業主任者の選任

 

1989年

 

 

 

「大気汚染防止法・同施行令・同施行規則」の改正

⇒石綿を特定粉じんとする
・特定粉じん発生施設の届け出
・石綿製造/加工工場の敷地境界基準を10f/Lと規定 

 

1991年

 

「廃棄物処理法」改正

・特別産業管理廃棄物として「廃石綿等」を新たに制定

 

1995年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「労働安全衛生法施行令」改正

・アモサイト、青石綿の製造禁止
※WHOの勧告、ILOの石綿条約でアモサイト等の使用禁止を盛り込んだことによる。これ以降の「石綿」とはほぼ”クリソタイル(白石綿)”についてを言う。

 

「特化則」改定

⇒他の特化則規制対象発がん性物質と合わせて対象を拡大
・石綿1%超まで対象を拡大
・吹き付け石綿除去場所の隔離
・呼吸保護具、保護衣の着用

 

1996年

 

 

 

「労働安全衛生法」一部改正

⇒粉じん作業だけでなく、すべての石綿作業が対象になる

「大防法」改正

 

1997年

 

 

「大防法施行令・同施行規制」改正

・特定建築材料を使用する一定要件を満たす建築物の解体などの作業が”特定粉じん排出等作業”となる

 

2004年

 

 

「労働安全衛生法施行令」の改正

・石綿含有建材、摩擦材、接着剤など10品目が製造禁止に(非石綿製品へ代替困難なものを除く全てのもの)

 

2005年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「石綿障害予防規則」の制定

⇒特定化学物質障害予防規則から石綿関連を分離し、単独の規則として制定
・解体、改修での規制を追加
※労働者の石綿ばく露防止上課題は石綿の製造禁止の流れに沿い、石綿を直接扱う製造現場から石綿含有建築物や工作物の解体・粉砕などの作業に移ってきたことを踏まえた制定であった。

 

「大防法施行令・同施行規則」改定

・吹き付け石綿の規模要件の撤廃
・特定建築材料に石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材が追加
・掻落し、粉砕などを行わない場合の作業基準を規定

※この頃大きな社会問題になった「クボタショック」を受け、石綿関連の法規制を更に強化。

2006年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大防法」改正

・法対象の建築物に加え、工作物も規制対象になる

「労働安全衛生法施行令」の改正

・石綿0.1wt%超の製品の全面禁止(仕上塗材も含む)

「石綿障害予防規則」改正

・規制対象を石綿0.1wt%超に拡大
・一定条件下での封じ込め、囲い込み作業に対する規制強化など

「廃棄物処理法」改正

・石綿0.1wt%超を含有する廃棄物を石綿含有廃棄物と定義
・無害化処理認定制度が発足

2008年

 

「石綿障害予防規則」一部改正

・事前調査の結果を掲示
・隔離措置を講ずべき作業範囲の拡大

2012年

 

 

「労働安全衛生法施行令等」一部改正

・石綿0.1wt%超の製品の禁止猶予を撤廃
※これにより、日本において「石綿の全面禁止(除外品目無し)」が達成された。

 

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