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化学用語解説
2017.07.21
印刷の種類
印刷業界において、溶剤はインキの洗浄剤を中心として、切っても切れない関係があります。
今回はそんな印刷の仕組みを紹介していきます。
印刷の種類
印刷方式は大きく「版(はん)」があるかないかで分けることができます。
版がある方を、読んで字の如く「有版式」、
版がない方を「無版式」と言います。
版とは
版は印刷したい絵柄・文字が刻まれたもので、これにインキをのせて印字したい部分に押し当てることで、絵柄や文字を転写し印刷することができます。
印刷方式によって版は様々ですが、判子をイメージすると分かりやすいかもしれません。判子の名前が彫られている部分が「版」なのです。
ステンシルのような印刷方式もあります。印刷したい部分に版を当て、上からインキを押し出すイメージです。
有版式の印刷方式は、版の形状で下記の4種類に分類されます。
- 凸版印刷
- 凹版印刷
- 平版印刷
- 孔版印刷
版を使う印刷は、使う色の数だけ版を作り、一色ずつインキを印刷したいもの(紙など)に転写していくタイプで、大量に印刷するのに最適です。
無版式の印刷方法は一般に「プリント」と呼ばれます。
- 静電印刷
- レーザー印刷
- 熱転写印刷
- インクジェット印刷
以上4タイプに分けられ、これらは印刷したいものに直接印刷します。
今回は、有版式の印刷方法で主だったものをご紹介いたします。
オフセット印刷
オフセット印刷は「平版印刷」に分類される印刷方式です。その名の通り、版は平たく、凸凹はありません。
凹凸がないのに、インキが版全面に付かないのは、その版を作る時にポイントがあります。
版を作る際、版(主にアルミニウム)の表面には親油性の「感光剤」が塗ってあります。感光剤とは、簡単に言えば、光に当てると固まる樹脂のことです。
そこに、印字したい絵や文字の柄のネガ状態(実際に印刷したい部分は白く、印刷したくないところが黒い、所謂白黒反転した状態)のフィルムを被せ、光を当てます。
その後、フィルムを剥がすと、色がついていたフィルムの下の感光剤は固まっていなく、色がついていないフィルムの下の感光剤は固まっている状態になります。
固まっていない感光剤を洗い落としたら版は完成です。
感光剤は親油性なので感光剤があるところにはインキがつき、感光剤がない所には逆に水が付くようになります。
版胴に版を巻き付けたら、まず「湿し水」が付けられます。感光剤があるところは水をはじいて、感光剤がないところにだけ水が付きます。
その後、インキが更に別のローラーでつけられます。こちらは感光剤があるところにだけ付きます。
版についたインキは、「ブランケット」と呼ばれる、樹脂やゴムでできたローラーに転写されます。
ブランケットに転写されたインキはその後、ブランケットと「圧胴」と呼ばれるローラーに挟まれた被印刷物に転写されます。
「オフセット」とは、版についたインキを一旦ブランケットに転写(OFF)した後、さらにそこから被印刷用物に転写する(SET)ため、この名がつきました。
版が直接、被印刷物に触れないので、摩耗が少なく、大量部数の印刷物も短時間で仕上がります。
更に鮮明な印刷が可能なところも、オフセット印刷の魅力です。
他の方式と組み合わせ、凸版オフセット印刷、グラビアオフセット印刷などもあります。
また、最近では版を作る時にフィルムが必要のないCTP印刷というタイプもあります。
グラビア印刷
グラビア印刷は「凹版印刷」に分類される印刷方式です。
版に凹凸があり、窪んだ所にインキが入り込みます。
インキが版に馴染んだ後はドクターと呼ばれる刃が版をなぞって余計なインキを落とします。
その後、圧胴と版に挟まれた被印刷物にインキが付くことでそのままインキが転写されます。
版は鋼管に銅の鍍金処理を行って、その表面に彫刻を施したり、あるいは表面を腐食させたりして凹凸を作り、製版します。
セルの密度や深さで印刷の濃淡を調整できるため、写真などの色の濃淡の再現性の高さがグラビア印刷の最大の長所です。
また、印刷速度の速さと版の耐久性から、大量部数の印刷にも適しています。
スクリーン印刷・シルクスクリーン印刷
スクリーン印刷やシルクスクリーン印刷は「孔版印刷」と呼ばれる印刷方法です。
ナイロンやテトロン、ステンレスなどで造られたスクリーン(メッシュ)が版になります。
この版の色をつけないところに、「感光液」という樹脂を塗り、光をあてて樹脂を固めます。固まった樹脂はインキを通さないので、樹脂の塗っていないところだけインキが通過できる状態です。
「スキージ」と呼ばれるゴム製の板で、スクリーン越しにインキを被印刷物に押し付けることで、絵柄や文字を転写します。
スクリーン印刷は色々なものに印刷が可能で、汎用性が高い印刷方式です。
通常のインキだけでなく、クリームはんだや接着剤、機能性インキなどの印刷にもスクリーン印刷は利用されています。
説明がややこしくなってしまったかもしれませんが、動画を見ればなんとなくその仕組みがわかって戴けるかなと思います。
少しでも印刷に興味を持っていただけたら幸いです。
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