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化学規制

2025.01.14

REACH規則とは?わかりやすく解説

REACH規則とは?わかりやすく解説

REACH規則について、一般的に広く流通している有機溶剤との関係を中心に、わかりやすく解説します。

 

REACH規則とは?

欧州に輸出するときはREACH規則を守るの図REACH規則とは、“Registration,Evalution,Authorisation and Restriction of Chemicals”の赤字部分の略です。日本語に訳すと、「化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則」となり、欧州連合(EU)における化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限の制度です。(※農薬や医薬品は対象外
人の健康と環境の保護、欧州化学産業の競争力の維持向上を目的に2006年12月の欧州理事会で採決され、2007年6月1日に発効しました。

REACH規則で対象となるのは、化学物質そのものだけでなく、複数の物質を混ぜ合わせた混合物や溶液などの調剤中の物質、成形品(車や家電、雑貨などあらゆる製品や、その中にある部品など)中の物質も対象となります。

REACH規則はあくまでEUの法令であり、日本で適用される法令ではありません。国内で製造販売する限りは国内法を遵守していれば問題ありません。しかし、ドイツやフランス、イタリアなどのEU圏内の国に製品を輸出する際は、同規則に従うことが求められます。
同規則は該当する化学物質の使用を全面的に禁止するものではなく、事業者に総量を管理して届け出させることを求めています。 

reach規則の4項目を解説する図同規則の内容は、大きく分けて①登録②評価③認可④制限の4項目に分かれます

登録・届出

EU圏内に化学物質を輸出する際、事業者は1トンを超える化学物質(物質それ自体と、塗料やインク、洗浄剤などの調剤中の物質)を、欧州化学物質庁(ECHA)のデータベースに登録することが必要です。
技術書類一式(登録者情報や物質の特定、用途、分類・表示、有害性情報、安全使用に関するガイダンスなど)を提出します。

成形品を輸出する場合は、成形品中の当該物質を意図的放出する場合は登録が必要となります。また成形品中の認可対象候補物質が年間1トンを超える量の場合か重量比0.1%を超える濃度の場合に届出が必要となります。
会社の情報や物質の情報(用途、分類など)、トン数の範囲、成形品の使用目的などを提出します。

一般的に広く流通している有機溶剤を使って成形品を製造している場合、有機溶剤は基本的に揮発して成形品にはほとんど残らないためREACHはほぼ該当しません。

評価

行政庁(欧州化学物質庁およびEU加盟国)は登録した物質を評価します。
物質を登録した事業者は、追試験や追加の情報を求められることもあります。

認可

人の健康や環境に影響を与える恐れがある物質のSVHC(高懸念物質)の中でも特に懸念が強い認可対象物質を使用する場合は、認可を得る必要があります。

SVHC(高懸念物質)とは?

SVHCとは、Substances of very high concernのことで、日本語に訳すと高懸念物質となります。認可対象物質の候補になることから、候補リスト(Candidate List)とも呼ばれます。人の健康や環境に悪影響を与える懸念があるN,N-ジメチルアセトアミド、1,2-ジクロロレタンなど242物質が指定されています。(2024年11月10日時点)

SVHCに指定されている物質を0.1重量%を超える量を含む製品は、SVHCリストに記載された日付から45日以内に、その製品の安全性に関する情報と物質名を製品に記載し、欧州化学品庁(ECHA)に通知する義務があります。
また、SVHC指定物質を1企業につき年間1トンを超える量を含む製品もECHAに通知することが必要です。

認可対象物質とは?

SVHCと認可対象物質の比較の図認可対象物質(Authorisation List)は、SVHCの中でも特に人の健康や環境に悪影響を与える恐れが強い物質です。認可対象物質に指定されるとsunset date(期限日)が設定され、それを過ぎると上市には認可が必要になります。トリクロロエチレンや1-ブロモプロパンなど59物質が指定されています。(2024年4月11日時点)

そるぶ

SVHCは2025年1月現在、第31次まで公表されているよ。
SVHCのリストに入った物質は将来的に認可対象物質に以降する可能性があり、SVHCリストに入った物質は警戒されるんだ。

制限

行政庁が化学物質を評価した結果、リスク低減が必要だと判断した場合は制限対象物質に指定され、EU圏内での使用が制限されます。
また特定製品への使用禁止(一般消費者向けや完全な使用禁止を含む)などの措置が取られる場合もあります。

制限対象物質とは?

制限対象物質は、制限条件を遵守しないとEU圏内での製造や上市禁止、または特定の用途での使用を禁止されています。トルエンやメタノール、ジクロロメタン、アスベスト繊維など76物質が指定されています。(2024年11月10日時点)

具体的な制限条件の例をトルエンを参考に見ると以下のようになっています。
「一般消費者への供給を目的とした接着剤やスプレー塗料に物質や混合物を0.1重量%以上の濃度で使用したものは、上市や使用をしてはならない」
上記を守ればトルエンを使った製品をEU圏内に輸出しても問題ありません。

REACH規則のまとめ

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