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化学規制

2024.12.25

RoHS指令とは?該当する物質を中心にわかりやすく解説

RoHS指令とは?該当する物質を中心にわかりやすく解説

EUの法令で、有害物質を規制するRoHS指令を、該当する物質を中心にわかりやすく解説します。

 

RoHS指令の概要

日本から欧州に電気電子機器を輸出するにはRoHS指令を守る必要があるの図RoHS指令とは、Directive on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical Equipmentの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと電気電子機器における特定有害物質使用制限指令となります。ローズ指令と呼ばれます。
電気・電子機器に、特定の有害物質の使用を制限する欧州連合(EU)の法令で、最初の指令であるRoHS1は2003年2月に発効しました。さらに2011年6月に改正されRoHS2が発効しました。

RoHS指令はあくまでEUの法令であり、日本に適用される法令ではないため、国内で製造販売する限りは国内法に準じていれば問題ありませんが、多くの日本企業でもRoHS対象物質は禁止物質となっているため、サプライチェーン全体での対応が求められています

そるぶ

そるぶ

RoHS指令は日本ではなくEU(ヨーロッパ連合)の法令だよ!
でも多くの日本企業でRoHS指令対象物質は禁止物質に指定されているから、対応が求められるよ!

制定の背景と目的

RoHS指令制定の背景には環境汚染があるEU各国では、電気電子機器の9割を前処理をせずに埋め立て焼却処分していたため、1990年代後半から2000年代初頭に埋立場や焼却場からの鉛などによる環境汚染が問題となりました。
そこで、電気電子機器中の有害物質の使用を、EUとして統一して制限することを目的としてRoHSが2003年1月27日に制定され、同年2月13日に発効しました。
同時に電気電子機器廃棄物の発生を抑制し再利用やリサイクルを促すWEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment Directive:電気電子廃棄物指令)も制定されています。

RoHS指令の改正(RoHS2)

欧州委員会が2008年に公表したRoHS指令改正案に基づいて約2年間の協議の後、対象製品を増やした改正RoHS指令(RoHS2)が11年7月1日に公布、同月21日に発効しました。
さらにRoHS2は15年に再改正され、対象物質が10種に増えました。

対象物質の一覧

RoHS1で電気電子製品への使用が原則禁止だった物質は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテルの6物質でしたが、RoHS2では新たに4物質(フタル酸ジ-2-エチルへキシル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソブチル)が追加され、合わせて以下の表の10物質が現在規制されています。

最大許容濃度は、カドミウムのみ0.01%(100ppm)で、その他は0.1%(1000ppm)です。

物質名 別名 英語名 CAS番号 最大許容濃度
  Lead 7439-92-1 0.1%(1000ppm)
水銀   Mercury 7439-97-6 0.1%(1000ppm)
カドミウム   Cadmium 7440-43-9 0.01%(100ppm)
六価クロム   Hexavalent chromium 18540-29-9 0.1%(1000ppm)
ポリ臭化ビフェニル PBB Polybrominated biphenyls 59536-65-1 0.1%(1000ppm)
ポリ臭化ジフェニルエーテル PBDE Polybrominated diphenyl ethers   0.1%(1000ppm)
フタル酸ジ-2-エチルへキシル DEHP Bis(2-ethylhexyl) phthalate 117-81-7 0.1%(1000ppm)
フタル酸ジ-n-ブチル DBP Dibutyl phthalate 84-74-2 0.1%(1000ppm)
フタル酸ブチルベンジル BBP Butyl benzyl phthalate 85-68-7 0.1%(1000ppm)
フタル酸ジイソブチル DIBP Diisobutyl phthalate 84-69-5 0.1%(1000ppm)

対象製品

以下の11分類の全ての電気・電子機器(交流1000ボルト以下、直流1500ボルト以下)が規制の対象です。

RoHS1では下記の「医療機器」「産業用を含む監視および制御機器」は対象外でしたが、RoHS2では対象に含まれています。

  対象製品カテゴリ 英語 具体例
a 大型家庭用電気製品 Large household appliances 冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど
b 小型家庭用電気製品 Small household appliances 掃除機、時計、電動歯ブラシなど
c 情報技術・電気通信機器 IT and telecommunications equipment パソコン、複写機、携帯電話など
d 民生用機器 Consumer equipment テレビ、ビデオカメラ、ハイファイオーディオ、アンプ、楽器など
e 照明機器 Lighting equipment ランプ類、証明制御装置
f 電気・電子工具 Electrical and electronic tools 電動ドリル、ミシン、はんだ用具など
g 玩具・レジャー用品・スポーツ用品 Toys, leisure and sports equipment ビデオゲーム、電気電子部品を含むスポーツ器具、スロットマシーンなど
h 医療機器 Medical devices 心電図測定機、透析機器など
i 産業用を含む監視および制御機器 Monitoring and control instruments including industrial monitoring and control instruments 煙感知器、測定機器、サーモスタットなど
j 自動販売機 Automatic dispensers 飲料用自動販売機、食品自動販売機、現金自動引出機など
k 上記カテゴリに入らないその他の電気電子機器 Other EEE not covered by any of the categories above  

適用除外用途

現在の科学技術では、代替手段がなく、特定有害物質を使わざるを得ない場合には、申請により適用除外用途とされます。

RoHS指令による生産者の義務

生産者の義務は次の4項目です。

・RoHS指令への適合性評価を実施し、適合を宣言する。製品の上市前にCEマークを貼付する。適合の根拠を明示する技術文書を作り、適合宣言書(DoC:Declaration of Conformity)と共に10年間保存する。
・設計変更や整合規格などの変更では適切に対応し、製品の適合状況を適切に維持管理する。
・製造番号など製品識別に必要な情報や製造者名、登録商標、住所、連絡先を製品か包装、添付文書に表示する。
・上市後に不適合があれば製品をリコールし、加盟国の所轄当局に直ちに通知する。

※CEマークはその製品が、該当する法令などに準拠し、適正な適合性評価手続きを経たことを表します。

RoHS関連の証明書

弊社製品のRoHS関連の証明書についてはChemSHERPAもしくはRoHS指令規制対象物質報告書として発行しています。

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